[4-C-3-03] 降圧薬の種類による腎保護効果:リアルワールドエビデンスを創出する臨床研究中核病院ネットワークの取り組み
chronic kidney disease, clinical epidemiology, eGFR slope
【背景】日本医療研究開発機構が支援する医療技術実用化総合促進事業の中でリアルワールドエビデンス創出のための取組み(以下、臨中ネット)の中で、病院情報を研究に利活用するための基盤整備や体制構築を目的として、具体的な研究課題をいくつか立案してきた。本課題におけるデータ収集からデータ解析に至る一連のプロセスを概説し、抄録作成時点でデータ収集が完了した3施設の集計結果を示す。 【方法】2018年4月1日から2018年9月30日の間(以下、ベースライン期)に少なくとも1度血清Crが測定され、その後2年間で3回以上測定された18歳以上の男女を対象とした。ベースライン期の最初のeGFR測定日をindex日とし、15以上60ml/min/1.73m2以下の者を対象者とした。Index日の前後90日以内に1回以上処方された薬剤をベースライン処方と定義した。電子カルテや透析部門システムから抽出した情報に基づいて腎代替療法の実施症例を除外し、ベースライン腎機能と降圧薬処方パターンの比較を行った。 【結果】3施設合計16321名のデータを集計した。ベースラインeGFR<15ml/min/1.73m2であった対象者616名を除外し、さらに腎代替療法既往患者を582名除外し、15147名が解析対象となった。平均年齢は69±12歳、男性が53%、ベースラインeGFR平均値は48.8±10ml/min/1.73m2であった。平均のeGFR測定回数は12回(interquartile range, 7-21)であった。カルシウム拮抗薬(CCB)とアンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)が最も頻度の高い薬剤であり、β遮断薬は20-30%で施設間にばらつきを認めた。 【考察】各施設におけるCKD患者に対する降圧薬の処方パターンはCCBとARBがメインであった。今後、腎機能低下速度と処方薬の関連を観察する。