Japan Association for Medical Informatics

[4-C-3-05] がん診療統合臨床データベースの活用:レジメン詳細情報の院内共有とレジメン投与歴の後方視的確認

*Kazuhiro Suzuki1, Yasuhiro Nakano2, Yuichi Minowa2, Takashi Yokokawa2, Maki Nemoto2, Toshiaki Mochizuki3, Ayana Kasahara1, Hikaru Takahashi1, Hisanori Shimizu2, Masahiko Oguchi1 (1. 公益財団法人がん研究会有明病院 データベース&バイオバンクセンター, 2. 公益財団法人がん研究会有明病院 薬剤部, 3. 公益財団法人がん研究会有明病院 集中治療部)

integrated cancer clinical database system, chemotherapy regimen, adverse event management

当院は2017年から「がん診療に関する臨床情報を統合的に保存・管理するデータベース(以降「統合DB」)」の開発に着手し、外科系を中心に計7診療科で運用中である。内科系データベースを開発するにあたり、最初の一歩として外来・病棟を問わずレジメン詳細マスタ情報を共有できるレジメン管理機能を開発した。レジメン管理機能では27のデータ項目があり、レジメン登録番号やがん種をはじめ、実施部署区分(入院、外来点滴、外来処方 等)、臨床使用分類(日常診療、単施設自主研究、多施設自主研究、治験 等)、抗がん剤適応分類(進行再発癌、術前補助化学療法、術後補助化学療法、大量化学療法 等)や、コース間での休薬規定、減量規定および中止基準、1日の投与スケジュール、患者条件、除外規定、プロトコール解説、主な副作用と対策等の項目を管理している。電子カルテには前記のような詳細な情報を十分に記載することができず、特に病棟ではレジメン詳細情報を別途印刷して紙管理していたため、最新の内容ではない状態のまま運用されるリスクが存在したが、本システムにより常に最新の状態を参照できる状態になった。また、本機能とレジメン投与実績情報(薬剤・量)、投与日の血液検査情報と薬剤師問診情報を連結(以降「レジメン投与実績管理情報」)することで、レジメン投与歴を後方視的に確認し、肝機能・腎機能の悪化、問診による有害事象Gradeの悪化などを網羅的に検索・確認できる機能を開発した。また、本機能の発展型としてICI(免疫チェックポイント阻害薬)レジメンに特化した投与実績管理情報画面を開発しており、レジメン投与日以降のステロイド投与情報やICU入院履歴等を付与して、有害事象の発生状況などをモニタリングできるようになった。上記機能を統合DB上に実装し、臨床現場と定期的に相談しながら運用・改善を継続している。