一般社団法人 日本医療情報学会

[4-F-2-03] デジタル療法における治療用アプリの現状と課題

*野村 章洋1 (1. 金沢大学附属病院 先端医療開発センター/循環器内科)

Digital therapeutics, treatment app, SaMD, nicotine dependence, hypertension

デジタル療法は、英語ではデジタルセラピューティクス(Digital therapeutics: DTx)、あるいはデジタルセラピー(Digital therapy)といわれ、日本では2014年に医療機器プログラムが薬事規制の対象となったことをきっかけに台頭した新しい治療法である。医療機器プログラムとは、「汎用コンピュータや携帯情報端末等にインストールされた有体物の状態で人の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること又は人の体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされているもの」とされている。このような医療機器プログラムのうち、病気の「治療」を目的とするものをデジタル療法といい、その方法にモバイルデバイスにダウンロードしたアプリなどを用いるものを特に治療用アプリと言う。治療用アプリは、スマートフォンをはじめとするモバイルデバイスを介して“デジタルによる介入(例:認知行動療法、食事栄養指導)“をアプリの利用者に対して提供する。治療用アプリは、モバイルデバイスがあれば時と場所を選ばずに利用可能であり、通常の医療機関への受診以外のタイミングにおいても病気の治療・管理強化ができることが大きな特徴である。
 デジタル療法はこれまでの内科的薬物療法、外科的手術療法に続く第3の治療法として、その臨床的有用性の評価が世界中で進められている。特に米国や欧州においては既に多くの治療用アプリが規制当局の認証を得て、実際に医療現場において患者、あるいは医療従事者の疾患補助・管理・治療に用いられている。日本においても、禁煙治療用アプリ「CureApp-SC」が2020年にアジア初の治療用アプリシステムとして薬事承認を取得し、その後保健収載されたのを皮切りに、うつ病や依存症、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病などに対する治療用アプリの開発も積極的に進められている。本講演では、デジタル療法の中でも特に治療用アプリに注目して、その現状と今後の課題についてお話をさせていただく。