一般社団法人 日本医療情報学会

[4-F-3] 退院時サマリーからinterim summaryへ(patient summary構築を睨んで) ~標準化推進合同委員会からの基調報告~

*渡邉 直1、高橋 長裕2、岩﨑 榮3、木村 通男4、岡田 美保子5 (1. 医療情報システム開発センター、2. 公益財団法人 ちば県民保健予防財団総合健診センター、3. NPO法人 卒後臨床研修評価機構、4. 浜松医科大学、5. 一般社団法人医療データ活用基盤整備機構)

patient summary, problem list, functional status, personal health record

退院時要約等の診療記録に関する標準化推進合同委員会(日本診療情報管理学会・日本医療情報学会)による検討を経て2019年10月に厚労省より保健医療情報分野の標準規格として認定された退院時サマリーは,HL7 CDA R2の規格に従って入院時診療情報を総括し,次の医療従事者に継承するための重要ツールと位置づけられる.
退院時サマリーの基軸はICD-10によってコード化された病名列であり,そこに発生時期やショートコメントをつけた基本枠が規定され,「退院時診断列」(プロブレムリスト)の体裁を取る.これが入院時の主たる対象疾病のみならず,既存症を網羅表示するように適切に記載され,さらに各プロブレムについて発生時期情報も入力されると,そのまま外来管理において患者情報のコアとして機能しうるし,以後,担当診療医によって適切に更新されれば,interim summaryとして迅速的確に現今の患者状況や課題を把握できるコンテンツとなる.
長期的健康管理(外来管理,慢性期診療,在宅)のみならず,救急医療においても,いかに患者情報を迅速的確に把握できるようにするかが喫緊の課題であるが,このプロブレムリスト,および同じく標準化サマリーの規定枠である「アレルギー・不適応反応」が貴重な軸を提供すると思われ,処方情報(ならびにデバイス情報)とあわせ,patient summaryのコンテンツの主要部分を提供できると考えられる.さらに,患者の生活機能がどのようであるのか,ICFないしICD-11 V章のcodeによって標準表記された生活機能サマリーが作成され,統合されることで,真に地域包括ケア時代の健康管理の基軸情報となり得るものと期待される.合同委員会では,退院時サマリーの正しい普及策を図るとともに,patient summaryの標準化に向けてのベクトルを指し示し,検討を続けてゆく予定である.