[4-F-3-01] What's next for the Standardized Discharge Summary ?
退院時サマリーに厚労省標準規格が定められ、ここにおいて病名(ICD-10準拠)を基軸とした患者の健康問題の包括的列挙(--当該患者の既存症がどのようなものであり、理想的にはそれらがいつ頃から存しているのかについても記載されたもの--)を筆頭とし、これにアレルギー・不適応反応や処方、受けた手技やデバイスなどの情報を加えて抽出することが枠組みとして可能となった。サマリー記載登録において包括的かつ適切にリストアップされていれば、これらのコアな情報伝達が可能であり、まさしくpatient summaryの基本的情報を担うものとなり得るのであり、複数疾患を慢性的に持ちつつ生活を続ける事が一般的となった高齢社会において重要な健康把握の核となると考えられる。 しかしそれだけで十分だろうか? 心原性左脳梗塞、高血圧、糖尿病、心房細動でカテーテル治療によって洞調律を回復させ、これこれの薬剤を内服している76歳の男性、という病名主体の情報を得るだけで、当該患者の治療とケアが適切・円滑に行えるだろうか?この人の麻痺の程度は?失語はないのか?嚥下機能は?認知度は?コミュニケーション疎通度は?といった生活機能の程度を表記した情報が、病名基軸情報と、まさしく車の両輪の片方として存在しないと片手落ちということになるだろう。 生活機能をどのように評価し、表示するのか?これに関する標準的な表現の方法については、いまだ確立されたものがなく、急性期医療から慢性期日常医療、および介護という、しばしば相互的に健康管理を担当し引き継ぐ各フェーズにおいて共通の“言語”を確立することが喫緊の課題として求められていると言えよう。ICD準拠の既存症表記と併存する形でICF準拠の生活機能評価を標準的な形で確定させてゆくことが出来るだろうか?本シンポジウムではそれを問うてみたい。