一般社団法人 日本医療情報学会

[4-G-1-01] 遠隔チェックインシステムを用いた通院患者の行動履歴の把握と待ち時間削減への取り組み

*小田 幸司1、青柳 吉博1、水口 和也1、野村 恵一1、土井 俊彦1、佐々木 啓庄2 (1. 国立がん研究センター東病院, 2. 株式会社nemuli)

remote check-in, patient service, congestion situation, smartphone application

はじめに
病院内の待ち時間が長く、来院者のストレスとなっている。コロナ禍において再来受付や診察室は混雑していることが多く、密状態を生みやすい状況である。また医療現場では再来機の行列や待合室の混雑など、患者・医療者ともにストレスフルな環境である。患者をスムーズに受け入れ可能な効率的な病院経営が求められる。
目的
通院患者が病院周辺駅に到着した時点で病院にチェックイン可能なシステムを構築し、病院での不要な待ち時間を解消し、病院施設への負担の軽減と患者サービスの向上を図る。
方法
スマートフォンのGlobal Positioning System(GPS)機能を用いた遠隔チェックインアプリを開発し、2021年4月~6月にかけて外来通院患者10名に対して試用を行った。病院周辺駅に到着した際にアプリを用い、再来受付を通さず指定窓口へ向かうことを想定して来院受付に関する運用を検討した。利用した患者への影響をアプリに記録されたタイムスタンプやアンケートにより評価を行った。電子カルテデータからアプリ利用者と非利用者で来院時間や待ち時間について比較を行った。また、混雑可視化システムを用いて再来受付周囲の混雑状況についても測定した。
結果及び考察
利用者10名の年齢は40~60歳代であった。利用者の殆どはアプリを用いてチェックイン操作が実施できたが、一部の方はGPSの精度、操作性の問題、体調の変化によってチェックインができなかった。 患者はこれまで診療開始の約30分前に来院されていたが、アプリを利用することで明らかな短縮となった。 再来機付近の混雑状況は8時~10時頃がピークであり、アプリを用いることで再来機に並ぶフローを避け、コロナ禍での密回避に繋がることが示唆された。また、通信利用動向調査データより当院の通院患者が遠隔チェックイン利用を想定した場合、再来受付システムのコスト削減に繋がることが明らかとなった。