Japan Association for Medical Informatics

[4-G-2-01] DXの道を一歩ずつでも進もう

*Shinichiroh Yokota1 (1. The University of Tokyo Hospital)

コンピュータシステムの発達により、医療現場ではいつでもどこでも記録を付けたり読んだりすることができるようになった。しかし、記録を手作業で行うという行為自体は、100年前の看護師が紙とペンで行っていた時代から変わっていない。これからの時代は、次の様な人間の知的活動を高度に支援できるコンピュータシステムがもっともっと開発されて臨床導入されると良いと考えている。
・入力支援(キーボードとマウス以外のインプットデバイスによる構造化情報入力)
・画像処理(汎用のスマートフォンやデジタルカメラによる写真からの所見抽出)
・行動提案(入力内容と関連ガイドラインから推奨される看護ケアを提案)
・異常検知(注射や処置実施の見落としや誤りを自動的に検知)
筆者はこれまでに、転倒リスク判別モデル開発してを電子カルテ上のツールとして運用し、かつ臨床における評価を行ってきた。効果は限定的ではあったものの、臨床での実践に大きな意義があったと考える。ベッドサイドに加えて管理向けのDXも重要であるので、創出した知識や技術を臨床向けの情報システムとして実装するというImplementation Scienceを、臨床とアカデミア協働でどんどん実践していく必要がある。
筆者が委員を務めている(公社)日本看護協会による看護業務効率化先進事例収集・周知事業では2019年度より、公募から採択された先進事例の横展開を図っている。一足飛びに未経験の最先端の事例を取り入れることは経営層はもちろん一般スタッフにも負担が生じるので、何が現実的にいけそうなのかを知るきっかけとして活用して欲しい。
既存の業務を新たな方法に置き換えるには、規模が大きければ大きいほど経営判断が求められる。医療関係施設の経営層はアンテナを常に高く張っていただき、機器や情報システム更新の際に前回同様とするばかりではなく、きっかけを見つけて少しでも先端事例を取り入れていただきたいと切に希望する。