[4-G-2-02] 病院電子カルテデータを用いた教師あり機械学習による褥瘡発生予測法の開発
看護学においてリアルワールド(RWD)の人工知能(AI)解析による利活用が十分でない。その理由として、RWDが看護学の研究で活用できることが浸透していないこと、看護学に資するRWD解析を実施できる人材が不足していることが考えられる。本WSでは、看護学の若手研究者が実施したRWDのAI解析による褥瘡発生予測研究のプロセスを共有することで、看護学におけるDX推進への示唆としたい。
現在臨床で使用されている褥瘡発生予測スケールの予測的妥当性は十分でない。そこで、日々電子カルテに入力される臨床情報を用いて褥瘡発生予測ができると考え、東京大学医学部附属病院企画情報運営部との共同研究を開始した(倫理委員会承認済み)。都内の1大学病院において収集された、入退院記録、看護基本記録、褥瘡管理文書を含む電子カルテデータ(N=75,353)を用い、アウトカムは手術室以外での褥瘡発生とした。予測変数として、入院初日に収集されるデータのみを電子カルテデータより抽出した。分類器にはロジスティック回帰、ランダムフォレスト、線形サポートベクターマシン、XG勾配ブースト法(XGBoost)の4つを用い、5-fold交差検証を実施した。院内褥瘡の期間内累積発生率は0.52%であった。XGBoostの予測性能が最も高く、感度0.78±0.03、特異度0.74±0.04、AUC0.80±0.02(平均±標準偏差)を達成した。褥瘡発生予測に重要な特徴量として、日常生活動作困難、食欲不振などが抽出された。患者の入院初日に看護師が日常的に収集した電子カルテデータを用いることで、褥瘡の発症リスクの高い患者を特定できる可能性を示した。なお、本研究はInternational Journal of Nursing Studies誌に掲載されている(PMID: 33975074)。
この事例が示すように、電子カルテを取り扱う部門の担当者・研究者と看護学研究者が協働することで、既存のデータのAI解析により新たな臨床的価値を生み出すことが可能であり、また、創出した知識を電子カルテ等の医療情報システム上に知的情報処理ツールとして実装することへの挑戦も重要である。
現在臨床で使用されている褥瘡発生予測スケールの予測的妥当性は十分でない。そこで、日々電子カルテに入力される臨床情報を用いて褥瘡発生予測ができると考え、東京大学医学部附属病院企画情報運営部との共同研究を開始した(倫理委員会承認済み)。都内の1大学病院において収集された、入退院記録、看護基本記録、褥瘡管理文書を含む電子カルテデータ(N=75,353)を用い、アウトカムは手術室以外での褥瘡発生とした。予測変数として、入院初日に収集されるデータのみを電子カルテデータより抽出した。分類器にはロジスティック回帰、ランダムフォレスト、線形サポートベクターマシン、XG勾配ブースト法(XGBoost)の4つを用い、5-fold交差検証を実施した。院内褥瘡の期間内累積発生率は0.52%であった。XGBoostの予測性能が最も高く、感度0.78±0.03、特異度0.74±0.04、AUC0.80±0.02(平均±標準偏差)を達成した。褥瘡発生予測に重要な特徴量として、日常生活動作困難、食欲不振などが抽出された。患者の入院初日に看護師が日常的に収集した電子カルテデータを用いることで、褥瘡の発症リスクの高い患者を特定できる可能性を示した。なお、本研究はInternational Journal of Nursing Studies誌に掲載されている(PMID: 33975074)。
この事例が示すように、電子カルテを取り扱う部門の担当者・研究者と看護学研究者が協働することで、既存のデータのAI解析により新たな臨床的価値を生み出すことが可能であり、また、創出した知識を電子カルテ等の医療情報システム上に知的情報処理ツールとして実装することへの挑戦も重要である。