一般社団法人 日本医療情報学会

[4-G-2-06] 人工知能を用いた研究の研究報告と研究倫理

*友滝 愛1 (1. 国立看護大学校)

機械学習や深層学習などの技術的な発展が進み、看護の領域でもリアルワールドデータを活用した研究が進んでいる。一方で、これらの方法論を用いた研究の結果が妥当かを判断するためには、研究の方法や結果について論文で適切に報告される必要がある。 研究報告の質を担保するうえで欠かせないのが、報告ガイドライン(Reporting guidelines)である。
 報告ガイドラインは論文を執筆するときのガイドとなるもので、人工知能(Artificial Intelligence: AI)の研究に関するガイドラインも5つ発表されている。(The EQUATOR network https://www.equator-network.org/ 、2021年8月9日検索)
 そこで本ワークショップでは、2020年に発表された3つの報告ガイドラインに加え、2021年に発表されたAI研究の倫理・ガバナンスのガイダンスを概観する。
・ Clinical artificial intelligenceのモデリングに関する研究を報告するときのminimum information:the MI-CLAIM checklist (Norgeot B, et al., Nat Med. 2020;26(9):1320-1324)
・ AIを組み込んだ介入を行う臨床試験プロトコルのガイドライン:the SPIRIT-AI Extension (Rivera SC, et al., BMJ. 2020;370:m3210)
・ AIの要素が含まれた介入を評価する臨床試験の報告ガイドライン:the CONSORT-AI Extension (Liu X, et al., BMJ. 2020;370:m3164)
・ Ethics and governance of artificial intelligence for health (WHO, 2021)
 報告ガイドラインは、論文執筆という研究の出口のガイドであるが、出口を見据えて、研究の入り口、すなわち計画段階から報告ガイドラインを理解しておくことは、研究方法を洗練させるうえでも重要である。
 本ワークショップでは、AI研究に欠かせないリアルワールドデータを用いた研究と、実際のAI研究の事例紹介がある。これらとともに報告ガイドラインや研究倫理のガイダンスを概観することで、看護の領域におけるAIを用いた研究をリードする入口・出口戦略を一緒に考える機会になれば幸いである。