一般社団法人 日本医療情報学会

[4-H-2] ここまで来た、病院情報システムに蓄積するデータの標準化と2次利活用手法 〜MID-NETをモデルとして〜

*山下 貴範1、陰山 卓哉2、永島 里美3、内山田 健次4、中島 直樹1、康 東天4 (1. 九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター、2. 医薬品医療機器総合機構医療情報活用部、3. 東京大学医学部附属病院企画情報運営部、4. 九州大学大学院医学研究院臨床検査医学分野)

Real-World Data (RWD), MID-NET, Governance center, Standardized code

近年、リアルワールドデータの利活用を目的とした、複数施設に跨ったデータ駆動型事業が盛んとなりつつあり、現在では統合解析によるエビデンスも報告されてきている。2018年度に本格運用が開始された医薬品医療機器総合機構(PMDA)による医療情報データベース(MID-NET)はその代表的な事例であるが、本格運用までの過程で、構築時やその後の継続的なデータ品質の維持・管理の重要性が示された。
MID-NETは、繰り返してきた薬禍を避けるために、医薬品等の安全を能動的・科学的に検証するための事業として開始され、従来の事業には類を見ないほど、データ格納法や格納データそのものの標準化を備えた医療情報データベースとして7年間の構築期間を経て運用が始められた。本格稼働後もデータ品質を保つために、AMED康東天班・AMED中島直樹班では、継続的なデータ品質の管理手法、及びこれらを実行し得る組織のあり方を検討するためにガバナンスセンターを試験的に設置し、多くの協力医療機関に対して、複数のデータ管理ツールを開発・実装し、標準コードマッピングの運用手順についての問題点も改善してきた。それには、各施設におけるMID-NETシステム運用の標準化、標準コードの適正なマッピング(JLAC10、HOT/YJコード等)、マッピングプロセス作業の見える化(ガバナンスセンターによる施設間の差の把握)、現場の効率化の視点からの現場作業のあるべき姿の議論、その解析によるMID-NETのデータ品質の向上、などが含まれる。
本企画では、最終年度を迎えたAMED康班・AMED中島班の成果を中心に、病院情報システムに蓄積するデータの標準化と二次利活用手法を、「MID-NET、ガバナンスセンター、標準化コード(医薬品、検体検査)」をキーワードとして報告し、今後の医療情報の標準化とその体制のあり方について、パネルディスカッションを行う。