一般社団法人 日本医療情報学会

[4-H-2-02] データ標準化と二次利活用のためのMID-NET基盤を用いたガバナンス運用

*山下 貴範1、高田 敦史1、内山田 健次2、野尻 千夏1、堀田 多恵子3、中島 直樹1、康 東天2 (1. 九州大学病院メディカル・インフォメーションセンター、2. 九州大学大学院医学研究院臨床検査医学分野、3. 九州大学病院検査部)

複数施設による診療データの統合解析には、データ品質管理が重要であり、その一つに標準マスタのコードマッピングがある。著者らは、これまでに医療機関施設のマスタの品質向上を目的としてMID-NET基盤をもつ協力施設を対象にガバナンス手法の開発を進めてきており、春季学術大会等で発表してきた。
MID-NETでは施設管理のマッピングA表(施設マスタ)とPMDA管理のマッピングB表(MID-NETマスタ)を保持しており、MID-NETのデータ品質はマッピングB表により担保されている。一方で、マッピングA表が整備されていないと、当該施設が他の複数施設型データ駆動型事業に参加した際には、その都度マッピング作業が生じてしまう。
ガバナンスセンターはマッピングA表を対象として、各施設における標準化コードの登録や整備を助長するために、AMED康東天班の活動として2017年度末、九州大学病院内に設置された。運用体制は検査技師、薬剤師、診療情報管理士、システムエンジニアを配置した。そして、AMED中島直樹班で開発されたマスタの変化をリアルタイムに抽出するマスタ差分出力ツールを用いて、各施設のマッピング状況を週次で管理している。本ツールは、前回更新分と今回更新の差分データを抽出する機能を備え、MID-NET協力医療機関10施設のうち9施設の導入が完了している。ガバナンスセンターの運用は、「差分データの収集・積上げ、マッピングのためのガバナンス分類、専門職による確認・検討、各施設への最適な標準化コードの提案、提案後の確認・意見交換」を実施している。2020年8月から各施設へ標準化コードの提案を開始したが、標準化コードの付与率が上がっていない課題もあるため、効率的な付与作業について検討している。
医療データの構造的な標準規格が普及してきている中で、そのコンテンツについても整備される必要がある。