Japan Association for Medical Informatics

[4-H-2-03] 医療情報システムで用いられる医薬品の標準化コードと課題

*Satomi Nagashima1, Kazuhiko Ohe1,2 (1. Department of Healthcare Information Management, University of Tokyo Hospital, 2. Department of Biomedical Informatics, The Graduate School of Medicine, The University of Tokyo)

医薬品には、薬価、レセプト処理、流通など、目的別にさまざまなコード体系が存在する。医療機関では、その利用目的に合わせて異なるコードを使用する必要があるため、一つのシステムの中で複数の医薬品コードを管理、利用している。厚生労働標準規格であるHOTコードは、目的ごとに使用されている医薬品コード体系の対応付けを主な目的として作成され、既存の4つのコード体系(薬価基準収載医薬品コード、YJコード、レセプト電算処理用コード、JANコード)との対応表が作成され、普及が図られている。一方、多くの医療機関では、医療機関独自のコードは付与しているものの、HOTコード等の標準コードは、必ずしも十分に管理されていない。また、薬機法の改正に伴い、添付文書の電子化と、医薬品等の販売包装単位の容器又は被包へのバーコード表示が義務化され、GS1標準バーコード及びGTIN‐14が利用されている。 近年、リアルワールドデータを用いた研究や、医薬品の製造販売後調査・安全対策にリアルワールドデータを用いるなど、臨床データの二次利用が進みつつある。日常診療を行う上では、独自のコードを付与して運用することで問題はないが、複数施設に跨った医薬品情報を電子的に活用するときには、医薬品を識別できる標準コードが必要となる。また、医薬品の使用実態等を正確に把握するためには、医薬品の単位や用法の標準化についても検討する必要がある。 医療連携や医療情報の二次利用を進めるために、医薬品コードの標準化は各医療機関が取り組むべき課題であるが、忙しい臨床業務のなかで、複数の医薬品コードを適切に管理するためには、簡便な方法で入力・管理できる仕組みの普及が必要ではないかと考える。 本発表では、医療機関で用いられている主な医薬品コードの現状と、標準化への課題について紹介したい。