Japan Association for Medical Informatics

[4-H-2-04] 検体検査データ二次利用のためのガバナンスセンターの取り組みについて

*Kenji Uchiyamada1, Taeko Hotta2, Atsushi Takada3, Takanori Yamashita3, Chinatsu Nojiri3, Naoki Nakashima3, Dongchon Kang1,2 (1. Department of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine, Graduate School of Medical Sciences, Kyushu University, 2. Department of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine, Kyushu University Hospital, 3. Medical Information Center, Kyushu University Hospital)

現在、多くの医療機関では検体検査の結果値データを含む電子診療情報がデータベース化されて様々な二次利用に利用されている。その代表例としては10拠点の医療機関が保有するデータベースを統合処理されて利活用されているMID-NETがある。このように複数施設のデータを統合し相互利用するためには標準化が必要であり、検体検査においてはJLAC10がその役割を担っている。
しかしながら、従来JLAC10は他の標準コードと異なる独自の課題が存在する。1)JLAC10は5要素のコードを複合的に組合せるという構成より医薬品や傷病名のように対象項目とコードが1:1の関係にならないことから医療機関毎・さらには担当者間によるマッピング差が生じやすい。2)医薬品や傷病名標準コードとは異なり日常診療の中での一次利用において必要とされることはほとんどないため、多くの施設では院内ローカルコードのみで運用されており医療情報システムのマスタに管理されていない。
主に課題1)に対してはMID-NET運用のためのガバナンスをPMDAにより独自で定期的に行われている。しかし、検体検査データは他にも地域連携・臨床研究等においても二次利用されており、その目的の都度マッピングが成されてしまうことで施設内での同一項目の重複マッピングも懸念されることから、同様にガバナンスが必須である。
九州大学病院ガバナンスセンターでは課題1)と2)に対して2020年度よりリアルタイムバリデーションツールを利用して協力医療機関のJLAC10ガバナンス業務を開始した。 JLAC10の持つこれら課題に対して各施設の医療情報システムマスタへのマッピング状態の評価、マッピング差に対する是正候補コードの提供を行っている。
今回、ガバナンスセンターでの多施設に対してのJLAC10標準化への取り組み内容について報告する。