一般社団法人 日本医療情報学会

[4-H-3] –日本腎臓学会・日本医療情報学会合同企画セッション –
包括的慢性腎臓病臨床効果データベースJ-CKD-DBにより可能となった臨床研究と今後の発展への期待と課題

*石田 博1 (1. 山口大学大学院医学系研究科)

臨床(観察)研究においては、その基となる症例情報の収集内容、症例規模、経時性が研究への活用における制約となるため、症例登録事業における登録情報の量と質、および収集・登録負担とのトレードオフの中での内容、規模の拡大は共通した課題である。
 その中で、本邦での慢性腎臓病(CKD)の症例情報の収集を目的に平成27年に構築、登録が開始されたJ-CKD-DBは、その大規模な症例情報を活用した研究論文がすでに発表され、期待された成果を着実に挙げている。また、当初からのSS-MIX2から取得された年度毎の病名、薬剤、検査結果等の主要なデータに加え、複数年の継続したデータ蓄積や症例の詳細な臨床情報との統合、さらにはゲノム情報との統合が実施、あるいは計画され、包括的・重層的症例DBとして発展的に歩み続けている中で、幅広い臨床研究への活用が期待されるものとなっている。  本合同企画セッションは、この包括的症例データベースJ-CKD-DBを軸に症例データベース事業における収集された情報内容とその活用性について事例の講演を通して確認した後に、今後の症例登録事業における効果的な情報収集と活用の面からの講演を通して今後の症例登録事業の展開についての議論の場となるよう企画した。
 具体的にはセッション前半は、JCK-DBの現状と今後の展望についての概説に続き、J-CKD-DBを活用した新たな研究手法による臨床(観察)研究事例の紹介と今後の研究展望についての講演、後半は医療情報学の進歩からの情報収集における新たな視点、医療技術評価(費用対効果)研究におけるreal-world evidenceの活用の視点、最後に症例登録情報の当初の目的外の活用、商業的な情報活用(第3者提供)活用の法的な視点からの講演を予定している。
 これらの講演、議論を通して、症例登録事業における情報内容と規模の拡大、および、臨床研究への情報活用の拡大に向けた課題解決に資するセッションとなること期待している。