一般社団法人 日本医療情報学会

[4-H-3-01] リアルワールドデータを活用したエビデンス創出プラットフォームの構築:J-CKD-DBプロジェクト

*柏原 直樹1 (1. 川﨑医科大学/日本腎臓学会)

Chronic Kidney Disease (CKD), J-CKD-DB, SS-MIX2

日本腎臓学会は日本医療情報学会と共同し、厚生労働省事業として、新規全国規模の包括的CKD臨床効果情報データベース(J-CKD-DB)を構築した。リアルワールドデータ(RWD)を活用してCKDの実態調査、予後規定因子の解析、標準治療の均霑化率の評価、有効な予防・重症化抑制策の立案、腎臓病診療の質向上に寄与することが目的である。SS-MIX2を用い、電子カルテ情報(EHR)からCKD該当例のデータ(患者基本情報、処方、検査値等)を自動抽出しDB化するものである。全国15大学病院の参画を得て、14万8000人のCKD症例を登録した。さらに5大学病院では、5年間の縦断解析が可能なDB、J-CKD-DB-Ex(15万2000人)を構築した。これらDBにより腎臓病診療の実態調査等が可能になる。
診療ガイドラインはエビデンスに基づくことが求められている。最も質の高いエビデンスはランダム化2重盲検試験(RCT)及びそのメタ解析とされる。RCT実施には大きな資源の投入が必要であり、臨床現場から提出される多くのClinical questionに答えることは容易ではない。リアルワールドデータ(RWD)とプロペンシティスコアマッチング法を活用することでエビデンス度の高い知見を創出ことが可能である。得られたリアルワールドエビデンス(RWE)をガイドラインに反映させ、その遵守率、普及率をDBで解析する。以上の過程を円環的に循環させることで、自立的なエビデンス創出プラットフォームを構築することが可能となる。本シンポジウムではRWDから生成したビッグデータの腎臓病を対象とした活用事例を報告したい。