一般社団法人 日本医療情報学会

[4-H-3-03] AI・ICTを活用したCKD患者管理システムの開発

*神田 英一郎1 (1. 川﨑医科大学)

Database, Machine learning, CKD, Dialysis

慢性腎臓病(CKD)・透析患者は死亡・心血管疾患の高リスク患者である。特に高齢患者では、原疾患、合併症、低栄養などが合併しやすいため、早期発見と管理が重要である。しかしながら、臨床現場では全ての患者に対して複数の危険因子を同時にコントロールすることは難しい。そこで講演者らは、患者データベースにAI・ICT技術を活用し、高リスク患者をスクリーニングするための機械学習モデルおよび治療管理システムを開発した。
 CKD患者データを川崎医科大学附属病院電子カルテデータベースより抽出し、透析・死亡リスクを予測する26の機械学習モデルを開発した。8つの機械学習モデルは既存マーカーよりも高い精度を示した。また、機械学習による予測確率は腎・生命予後に強い関係性を示した。サブグループでも同様の結果であった。さらに臨床で活用するため、ユーザーが患者情報を入力すると予後を予測するWEBシステムを開発した。
 機械学習モデルは従来の統計モデルと異なり、その解析結果を人間が理解することが困難である。そこで講演者らは解析内容をある程度理解可能にするため、日本透析医学会統計調査データベースを用いて機械学習のアンサンブルモデルを開発した。k-means法で解析したところ、人間が理解できる特徴で患者は5つのグループに分類された。最も生命予後の悪かったグループは、高齢かつprotein energy wastingの患者であった。本システムの使用によりこのような高リスク患者の早期発見が可能になることが示唆された。 また、講演者らは、食事療法管理システムや検査値・治療薬等を自動的に解析する治療管理システムを開発した。これらシステムではディープラーニングが搭載されており高い精度を達成した。
 患者データベースにAI・ICTを活用したシステムを臨床応用することにより、高リスク患者の発見から治療内容の管理まで、患者を中心とした医療システムの構築が可能になる。また、CKD・透析患者の予後改善が期待される。