Japan Association for Medical Informatics

[4-P-1-01] 二次元バーコードを活用した医薬品管理体制の構築

*Yuki Aoki1, Toshiyuki Fujita2, Kousuke Matsushita2, Katsushige Yabe1 (1. 聖隷福祉事業団 聖隷浜松病院 薬剤部, 2. 聖隷福祉事業団 聖隷浜松病院 情報システム室)

Barcode, Drug management system, Medical safety

背景
医薬品の中には非常に危険または高額な薬剤が存在しており、これらが使用実績入力ミスなどにより使途不明や請求漏れになることは患者や病院に対して高いリスクを負わせる。これらを避けるため高額またはハイリスク薬剤について薬品の払出本数と使用実績を日別患者別に照合し、実際の在庫数および返品数と理論値の差異を照合することにより請求間違いの確認を行っていた。しかし、手作業のため照合ミスが多発しており、請求間違いにそのミスが重なり薬品の管理に多くのコストがかかっていた。よって照合作業のシステム化を行い、迅速かつ正確な薬品管理体制の構築を目指した。
方法
薬剤オーダー情報を二次元バーコード化して薬剤の払出伝票に印刷するシステムとその二次元バーコードを読み込み使用実績と照合を行うシステムをMicrosoft Access®を用いて作成した。システム導入後の作業時間および高額薬剤またはハイリスク薬剤の請求間違いの件数、薬剤の払出と使用実績の照合のミスの発生件数についても調査を行った。調査期間は2020年9月1日から2020年11月30日の90日間とした。
結果
調査期間において、請求漏れ287件、過剰請求62件、紛失2件を発見した。請求漏れの合計金額は約314万円であった。払出伝票と実際に払い出した薬剤の数量間違いを1件発見した。システム導入後の作業時間は約120分削減され、薬剤の払出と使用実績の照合のミスは0件であった。
考察
二次元バーコードを利用して払出薬剤と使用実績薬剤の照合をシステム化することで手作業によるミスは大幅に削減され、使途不明薬剤や請求漏れを低減することが出来た。今回の取り組みにより薬品を安全に管理する体制を構築することができ、安全な医療に貢献したと考えている。今後の課題は薬剤払出伝票と実際に払い出された薬剤および数量の確認が目視のため、バーコードで監査が行えるシステムの導入を検討する。