Japan Association for Medical Informatics

[4-P-1-02] 採血検査の異常値を医師へ伝える試み

*Yuma Ushirozawa1, Tatsuro Ishikawa1, Shinichi Fujimaki2, Katsuyuki Sasaki2, Masaharu Nakayama1,3 (1. 東北大学病院メディカルITセンター, 2. 東北大学病院検査部, 3. 東北大学大学院医学系研究科医学情報学分野)

Clinical Decision Support System, notice, template

背景:採血検査における異常値(パニック値)発見時は緊急の対応が要求され、その機会を失うと患者に致命的な結果を生じかねない。しかしながら、日常業務でのそれらの管理は大変困難である。当院では2020年1月の電子カルテシステム更新の際、設定に応じたアラートを出すことのできるClinical Decision Support System(CDSS)が装備された。本機能を用い、パニック値対応を試みたので報告する。
目的:CDSS機能を用いてパニック値出現時は自動的にアラートが出るよう設定し、検査部から医師への直接連絡とともに、本機能で医師がパニック値を認識し、何らかのアクションを確認した。
方法:採血検査の頻用15項目を対象とし、これらにパニック値が発生した場合、オーダした医師へアラート画面を表示するように設定した。併せて、アラート画面の「実行する」ボタンを押すとテンプレートが起動し、処置結果を電子カルテへ記録できるよう設定した。2021年2月1日から5月31日までの4ヶ月間において、上記の実績を調査した。
結果:調査期間におけるパニック値発生1,004件のうち、「実行する」ボタンを押しテンプレートを記録したものは551件だった。また、テンプレート未記録の453件について調査したところ、「実行する」ボタンを押しているがテンプレートに未記録のものが133件、アラート画面の「実行する」ボタンではなく「不要です」ボタンを押したものが243件、アラート確認済にもかかわらずアクションの無かったものが27件だった。
考察:開始4ヶ月では医師への周知が不十分であったためか、全てのアクションは実現できなかったものの、以前と比較すると、パニック値についてのカルテ記載率が大幅に改善された。その他、アラートが受信されずに有効期限(5日間)を過ぎたものが50件あり、設定値や有効期限等、今後の見直しが必要と考えている。