Japan Association for Medical Informatics

[4-P-1-05] B型肝炎再活性化リスク防止に向けた電子カルテ内アプリケーションの活用

*Shuhei Ban1, Wataru Suzuki1, Takashi Yokokawa1, Naoki Shibata1, Kazuo Kobayashi1, Kazuyoshi Kawakami1, Hisanori Shimizu1, Hikaru Takahashi2, Kazuhiro Suzuki2, Masakazu Yamaguchi1 (1. 公益財団法人がん研究会有明病院薬剤部, 2. 公益財団法人がん研究会有明病院データベース&バイオバンクセンター)

HBV, monitoring , pharmacist

【緒言】
 B型肝炎ウイルス(以下,HBV)既往感染は,化学療法の実施により再燃の可能性がある。当院は,抗がん薬治療においてHBV検査項目を任意で確認するも,検査実施漏れが課題であった。今回,アプリケーションを用いてスクリーニングの質向上を図り、若干の知見を得たので報告する。
【方法】  
 化学療法の運用を決定する院内委員会にて,薬剤師は治療初期におけるHBV既往と関連する同意の確認,ならびにHBs抗原,HBs抗体,HBc抗体,HBV-DNA量の検査状況を確認する取り決めとした。  
 データベース&バイオバンクセンター(以下,DBBKC)との共同により,2つのアプリケーションを開発(①「HBVキャリア/既往感染同意取得確認一覧(HBV再活性化リスクのIC記録)」,②「既感染者モニタリングリスト(直近,1年間)」)し,電子カルテ内操作を可能とした。  
 薬剤師は,電子カルテ内での情報共有を構築し,HBV-DNA量の測定を含む検査依頼や同意確認に係る申し送りを記録に残す運用を実施した。 当院にて2021年4月19日~5月18日において,抗がん薬治療を受けるHBV既往かつ治療1コース目である症例を対象とし,スクリーニングにおける介入件数と確認工程の変化を後方視的に調査した。
【結果】  
 調査対象は81件であった。モニタリングアプリを併用して,薬剤師より医師へHBV-DNA量の測定を依頼した件数は6件であった。なお,薬剤師間の情報連携は,電子カルテ内での申し送りにより適切に処理された。  
 任意であった確認工程が明確となり,また,1日のHBV既往確認関連の作業時間は短縮された(10分以内/病棟)。
【考察】  
 初期治療に焦点を当てたことから,統一した運用が全病棟展開を可能とし,スクリーニングの質も向上したと考える。今後,アプリケーションの利活用の範囲を広げ,抗がん薬治療終了後のモニタリングを強化した安全管理を構築したい。