一般社団法人 日本医療情報学会

[4-P-1-06] COVID-19アウトブレイク事後医療安全アンケートから抽出された医療情報上の課題

*黒田 敬史1、大塚 裕仁1、渋谷 かをり1、佐藤 いづみ1、郷野 深雪1、高橋 啓太1、野中 博司1、寺田 修治1、小松 加奈1、横山 和之1、柿木 滋夫1 (1. 北海道社会事業協会小樽病院 医療安全管理室)

COVID-19 infections, medical information, patient safety, personal digital assistant

【緒言・方法】当院では2021年冬季にCOVID-19院内アウトブレイクを経験し、収束までに48日を要し感染者は67名に上った。収束後に医療安全推進室では、当時勤務中の全職員を対象に医療安全的側面でのアンケートを実施し、アウトブレイク中の業務上の問題点を抽出し業務改善につなげようと試みた。今回はその中で医療情報に関連する問題点と対策について検討した。【結果】アンケート回収率は81.8%で、医師4%、看護職62%、診療技術部20%、事務部12%であった。COVID-19診療の関わり度別には「関わった(業務の50%以上)」が20.0%、「部分的に関わった(業務の50%未満)69.0%、「全く関わらなかった」9.7%、「無回答」1.3%であった。医療安全上のルールを普段通り守ることが困難だったか質問したところ「困難だった」との回答が28.2%であり、その中では「PDAが持ち込めず三点認証ができない」「マンパワー不足や隔離のためダブルチェックが困難だった」といった医療機器の非常時運用方法を含めた確認業務上の課題が、本項目の自由記載59例中24例(40.7%)と最多であった。ルール遵守が困難な理由は「ルールが不明瞭・複雑だった」「感染対策との整合性を図るのが困難だった」「多忙・マンパワー不足だった」の順となった。解決方法は「上司に相談した」「感染対策チームに相談した」「カンファレンスで検討した」の順となり、自由記載では「病室外の名札にリストバンドを置き、室外で入力した」「注射箋に押印した」など現場で用いられた改善策が多く寄せられた。【考察・結語】COVID-19アウトブレイク後の後方視的アンケートで、医療情報に関連しては確認業務での課題が抽出された。今なお感染拡大再発のリスクがある中、各部署からアンケートを通じて挙げられた改善策を平時のうちに情報共有し、備えることが必要と示唆された。