一般社団法人 日本医療情報学会

[4-P-2-01] 医療機関、ベンダーニュートラルなクリニカルパスデータの可視化/解析基盤の構築について

*中熊 英貴1、二川 康秀2、和田 叔子3、松本 崇志4、木村 雅彦5、清水 俊郎6、藤田 豊7、若田 好史8、山下 貴範9、小妻 幸男1、野口 忠祥1、岡田 美保子10、中島 直樹9、副島 秀久1 (1. 済生会熊本病院, 2. 日本電気株式会社, 3. 富士通Japan株式会社, 4. 株式会社ソフトウェア・サービス, 5. 日本アイ・ビー・エム株式会社, 6. 株式会社SBS情報システム, 7. パーソルプロセス&テクノロジー株式会社, 8. 徳島大学病院, 9. 九州大学病院, 10. 一般社団法人 医療データ活用基盤整備機構)

epath, Clinical pathways, visualization / analysis platform, BOM

2018年10月より、AMED事業「クリニカルパス標準データモデルの開発および利活用」(以下、ePath事業)を進めてきたが、本事業で構築した解析基盤について報告する。 ePath事業では複数医療機関、ベンダーニュートラルに可視化/解析可能な基盤構築を目的とした。さらに、その解析基盤は現場に有用な情報をフィードバックすることを主目的とし、実証する医療機関、HISベンダー、リポジトリベンダーおよび解析基盤構築ベンダー等の協力のもとに進めてきた。各医療機関のパスシステムからリポジトリにデータを出力し、匿名化後、そのデータを解析基盤で統合した。対象はパスデータだけではなく、DPCやSS-MIX2データとの突合解析も可能とした。特にパスデータでは医療機関とベンダーとの間で、“あるべき運用”や“あるべき内容”を確実にリポジトリに格納することを心掛けた。「経過日」では手術や治療当日を0とし、術(治療)前は-1、-2と術(治療)後は+1、+2とカウントすること、「達成されたアウトカム」では観察項目実施の評価状況が1つでも未達成となった場合バリアンスとすることなどを共通定義とした。 構築した基盤で可視化/解析を行った結果を基に、例えば、カテーテルアブレーションパスを改定し、予定日超過退院症例の割合が改定前より減少した。TUR-Btパスでは、バリアンスが発生しても入院日数超過に影響しないアウトカムや観察項目の評価回数を削減できた。 以上、当基盤は複数施設での統合可視化/解析を可能にし、共同でパス改定を実現する基盤として機能した。さらに、自施設では症例数が少なくても、多施設で統合可視化/解析できるため、その結果を基にしたパス改定も実現できた。パスを運用することで、正確なデータが日々蓄積され、他のデータを含め解析することで、質改善活動を加速化することができる。