Japan Association for Medical Informatics

[SS2-01] 医療ICT・IoT の拡大を考慮した院内通信インフラの構築ポイント

*山下 芳範1 (1. 福井大学医学部附属病院 医療情報部 副部長/准教授)

 医療現場では医療機器のICT 化に伴い、電子カルテや検査機器のネットワーク利用だけでなく、医療機器等の通信の必要性が高まっている。また、新型コロナ感染症の入院対応でも、病室でのインターネット利用が求められることもあり、これからの病院内でのネットワークの利用は広がるとともに設計・管理・運用も重要な課題となることを再考させられる機会でもあった。このため、医療機器のみならず各種デバイスが医療ICT 環境の充実を必要としていることから、今後は院内の情報ネットワークの設計は重要なものとなる。
 本院では、仮想化をサーバだけでなくクライアントとして運用することで、ネットワークがあればどこでも利用できる環境を目指して構築してきた。また、IoT 対応ということで院内電話としてのスマートフォンの導入とIP 化、医療機器や各種センサーの活用・ベッドサイドでのバイタル機器からのデータ収集なども積極的に行ってきた。最近では、IoT の活用として位置情報の活用による手指衛生のマネジメントの可視化にも活用を行ってきた。これまでは、無線LAN の利用が中心であったが、IoT としては無線LAN とは異なる電波や通信を利用することが多くなるため、院内での電波利用の考慮も必要となっている。院内の電波管理も考慮した、ネットワークインフラの設計が必要となる。
 Wi-Fi の進化も著しいが、その反面、医療機器等では古い規格のWi-Fi が利用され続けており、最新規格のWi-Fi の特徴を活かせないことも多く、このような条件での電波干渉対策は不可欠となっている。
 今後、医療現場でもIoT 活用が増加すると思われるが、多くが無線通信となるため、電波の干渉の配慮が必要となる。このためにも総務省からの「電波利用の手引」の考慮が次世代インフラ構築に向けての鍵となる。本院での仮想化から始まりIoT 利用までのインフラ設計のポイントを解説する。