Japan Association for Medical Informatics

[1-H-2-02] データ活用製品の導入プロセスと共通データモデルの有用性について

*Nobukazu Masakado1 (1. IQVIA Solutions Japan K.K.)

昨今のデータ集積技術の発展に伴い、様々なデータ活用製品の導入を検討する施設が増えてきている。導入の目的は集計自動化や素早い意思決定の促進、業務改善や収益向上など多岐にわたるが、いざ検討を始めると製品選定や導入プロセス等の課題に直面することも少なくはない。そのため本稿では製品選定から導入工程を経て運用開始までの局面を3つに分けデータ活用製品の定着化に向けて考慮すべき事項を示す。

①製品選定
製品に課題を合わせるのではなく解決のための仮説を定め最適な製品を検討する。
②導入工程
導入工程ではデータ精度の担保や既存の運用の見直しが発生することもあるためシステム担当者と業務担当者が参画する。
③運用開始
目的に応じてターゲットユーザーを決め徐々に公開範囲を広げ都度発生する課題等を把握しながら進める。

データ活用製品の導入における基本的な内容を示したが、病院ごとの方針や体制などの違いにより経営・業務改善に対する打ち手は変わってくる。しかし、データを利用したエビデンスに基づく対応は、関係者の納得性、目的達成に向けたスピード、打ち手の判断材料として非常に強力な手段になると考えられる。また、データ活用の定着化による課題解決や目的達成の成功体験を重ねることで、データ活用の組織文化が醸成され、課題の発見や新たな課題解決のための足掛かりとなり、データに対して求めるものが増えてきた時にSDMが効果を発揮するものと考える。

標準化されたデータモデルを利用することで分析手法を施設間で共有することもできるため自院では考えなかった新たな気づきが得られることも期待される。データ活用が円滑に回ることで院内DXの実現、延いてはSDMの普及やコンソーシアムの活性化に繋がることを期待している。