一般社団法人 日本医療情報学会

[1-H-2-04] これからのヘルスケアマネジメントモデルへの期待

*島川 龍載1 (1. 県立広島大学)

現在、政府はSociety 5.0(超スマート社会)の概念を基軸に、人材育成と活用の「ヒト」に関わる成長戦略の視点でグランドデザインの具体化を進めている。この実現には、産業縦割型の仕組みから転換し、消費者を中心とした産業横断型の社会システムの構築が必要であり、ヘルスケア領域では健康・医療・介護分野における地域づくりに必要となるヘルスケアマネジメントモデルの在り方について整理が必要になるものと考える。  「ヒト」の成長に着目した場合、医療分野では、医療従事者と患者の間の医学的知識に関する情報の非対称性の問題を解決するために患者とのつながりを重視したアドボカシ―(Advocacy)が重要となる。健康や医療に対する意思決定における患者への積極的関与を促進するために、今後のデータ連携基盤には日常生活の健康管理記録から医療、介護に至る連続したデータ管理と相互運用性の確保が欠かせない。また、「ヒト」の成長には他者や組織と共有して管理する概念が必要となる。例えば、家族との情報共有や医療機関、所属する企業などの組織との情報共有が考えられる。これらは、地域をともに創っていく地域共生社会の実現に向けたアプローチの一つとして、サイバー空間を活用したコミュニティの形成にもつながるものと考える。  これらの要素をもとに、本発表では個人のヘルスケアに関するリアルワールドモデルを考察し、肉体的問題、精神的問題、社会的問題のそれぞれに関係する情報関係モデルを整理する。そのうえで、問題検知した際のアラート判定ロジックから個人毎に必要な情報としてのリスクアラートやナビゲーションのような方法で、デジタルデバイドや情報リテラシーの影響に寄らない「PUSH型」の情報提供による具体的な行動変容への働きかけについてのデータモデルを提案する。