Japan Association for Medical Informatics

[2-A-1-02] 中枢神経領域における画像診断AIの挑戦 –画像診断AI 3.0の世界を目指して

*Yuki Aoyama1 (1. Splink,Inc.)

認知症をはじめとする中枢神経系疾患は、効果的な治療薬の開発・疾患の早期発見・診断の確立なと、多くのアンメット・メディカルニーズを抱えている領域である。これらの課題の多い中枢神経領域において、近年ではその病理そのものに着目した疾患修飾法(Disease-Modifying Therapy: DMT)の開発が進められており、本邦でもDMT実現への期待感が急速に高まっている。
他方、実臨床でDMT を施行するためには、その対象となりうる患者の早期発見や病態の進行予測、薬剤投与後の効果・副作用のモニタリングが不可欠となってきており、背景病態の評価に基づく精緻な診断を可能とするシステムの確立が必須である。
これまで国内外で実臨床における脳病態評価法に関する研究開発が行われてきたが、中でも頭部MRI はその低い侵襲性と汎用性から、特に世界有数のMRI 保有国である我が国において認知症早期病態診断に関する多くの臨床研究が行われてきた。近年、MRI などの画像診断技術に人工知能(AI)技術を融合することで、背景病態推定を行う診断支援技術の開発に関する研究が萌芽しつつある。AI 技術を応用したMRI 診断支援医療機器プログラムは、現存する医療資源の最大活用と、それによる臨床医の診断技術の向上および精緻な病態診断実現に資する技術となる事が期待される。
本講演では、弊社の取組紹介と共に、DMT に繋げるデジタルバイオマーカーの開発の可能性と課題を俯瞰しつつ将来の展望を考察する。