Japan Association for Medical Informatics

[2-A-3-01] From AI Research to Starting a Business and Launching Software as a Medical Device in Ophthalmology

*Hidenori Takahashi1 (1. Department of Ophthalmology, Jichi Medical University)

Social implementation, Entrepreneurship, Software as a Medical Device

眼科領域においても深層学習によるAIが導入されつつある。既に眼底画像の高画質化や、カラー眼底写真から視神経乳頭陥凹体積を推論するAI、カラー眼底写真の正常逸脱部位を可視化するAIが認証を得ている。本講演では、一大学眼科臨床医であった演者がAIと出会い製品を上市するまでの道のりを概説する。
演者は大学眼科で臨床をしつつ動物実験や臨床研究をしてきた。2015年に、ブログをフォローしていたIT経営者がこれからはAIだと書いていた。早速ヤフオクで中古GPUを落札し、前教授がラベル付けした眼底写真を深層学習し始めた。半年でそれなりの精度が出て、論文化して研究費を申請しての好循環に持ち込める手応えを掴んだ。以前から知財に興味があり、大学の知財部門に職務発明の届けをしてみた。大学卒業時に起業しなかった後悔があり、知財部門からも背中を押され、ネットの解説記事を見ながらDeepEyeVision合同会社を設立した。業務は知財の売り込みだったが、「顧客である医師の仕事を奪う知財は使えない」と医療機器メーカーに言われ、自力で世に出す事にした。インキュベーション施設のDEEPCORE KERNELに入り、様々な指導と共に最高のCTOを紹介して頂いた。厚労省ベンチャー支援MEDISOなど様々な人の縁があって、認証を取得する体制が整った。既に何でも診断する自作AIを自分の眼底健診業務に使っていたが、承認の想定を超えていて承認取得は無理だと知った。劣化版を作って承認を目指そうにも数年と数億円の負担が重い。更に劣化させて数ヶ月数千万円で済む認証を目指した。診断に一切関わらないように単に正常逸脱部位を可視化するだけのDeepEyeVision for RetinaStationとして、2021年に眼底カメラ用医療機器プログラム認証を取得した。上市後は多数の要望をいただき、ひたすら細やかな改善に追われている。AIの民主化が進み有用なAIを作る医師は今後も増えるだろう。開発したAIを社会実装する参考になれば幸いである。