Japan Association for Medical Informatics

[2-A-3-03] Possibility of applying AI technology to digital mental health field

*Kotaro Imamura1 (1. Department of Digital Mental Health, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo)

Digital Mental Health, Internet-delivered Cognitive Behavioral Therapy, Depression, Prevention

近年、精神保健領域においても遠隔医療(遠隔精神保健; telemental health)に注目が集まっており、軽症例へのセルフケア情報を含めた遠隔精神保健サービスの提供、診療と診療の間に遠隔精神保健サービスにアクセスすることでの支援、さらに多数の一般住民や労働者に遠隔精神保健サービスを提供することでの精神疾患の予防等の問題を解決する革新的なアプローチとして多くの研究が進められている。情報通信技術 (information and communication technology; ICT)を用いた遠隔精神保健プログラム(e-mental health) の開発および効果評価に関する研究も盛んであり、プログラムは主に①情報提供、②スクリーニング、アセスメント、モニタリング、③介入、④社会的支援、の4つの領域にアプローチしていると報告されている。また、現行のプログラムの多くは成人のうつ病や不安障害を対象としており、プログラムの利点として、アクセス性や低コストである点などがあげられている。
演者らの研究チームは、一般労働者を対象にインターネットからアクセスして認知行動療法 (cognitive behavioral therapy; CBT)を学び、ストレスへの対処力を高めることで抑うつ症状を改善する一次予防のためのインターネット認知行動療法プログラム(Internet-delivered CBT; iCBT)を開発し、無作為化比較試験により抑うつ症状の改善効果および大うつ病の予防効果を検証した。このプログラムでは、カウンセラーと労働者が対話する様子をマンガで学習でき、心理や看護の専門家が学習の一部に助言する形式としている。一方、専門家の補助なしのプログラムは一般に効果が小さいことが知られており、演者らはこの課題を解決するために、専門家の補助をAI技術で自動化する試みに取り組んでいる。
本発表では、演者らのチームが開発した労働者向けiCBTプログラムの概要および効果評価の結果に加えて、それらの知見をふまえて新たに開発したAI技術を活用したiCBTプログラム(SMART-CBT)を紹介し、デジタルメンタルヘルスにおけるAI技術の応用の可能性について議論する。