Japan Association for Medical Informatics

[2-B-1-05] FHIRを用いたユースケース・ベースのPHRと医療連携基盤の構築研究

*Takanori Yamashita1, Tatsuo Hiramatsu2, Ryuichi Yamamoto3, Mayumi Yoshida3, Takafumi Shimogawa1, Koji Iihara4, Takanori Fujita5, Kayo Waki6, Naoki Nakashima1 (1. Kyushu University, 2. International University of Health and Welfare, 3. Medical Information System Development Center, 4. National Cerebral and Cardiovascular Center, 5. Keio University, 6. The University of Tokyo)

個人健康医療情報と日常の生体情報を統合管理するPHRは、本邦の課題である超少子高齢社会や大型災害などへの対策や、患者主体医療(Patient Engagement)を推進するツールとして期待される。その一方、PHRは電子カルテの黎明期と同様に標準化より商業化が先行しつつあり、将来の相互運用性の確保が困難に陥ることが危惧される。その解決には標準規格の実装と臨床上のユースケース(UC)の整備が不可欠である。各UCに必要な項目を臨床的に構造化データとして定義し、入力支援を整備することは、相互運用性の確保のみならず、ガイドライン支援、データ二次利用などの要件である。逆にUC策定を怠れば、PHRは自由文中心のビューワに陥り、ユーザビリティやデータ保存性を欠くことになる。
 厚労科研「ユースケース・ベースのPHRサービスによる Open FHIRと電子カルテの連携を目指すクラウド型医療連携プラットフォーム構築研究(代表・中島直樹)」では、相互運用性・データ保存性の確保、有効性・ユーザビリティの向上を目的として、Open FHIR基盤とそれと連携するPHRアプリケーションを開発し、病院患者と自治体職員を対象に実証研究を行っている。
 PHR基盤は、電子カルテデータをFHIR連携するためにOpen FRUCtoSを用いて構築した。PHRアプリケーションは、NeXEHRS研究会で策定されたFHIR JP Core実装ガイドを用いた。疾患別UCの生活習慣病PHR推奨セットと脳卒中UCでは、病院の検体検査結果とマイナポータルの特定健診情報の連携機能を実装した。また、疾患非特異UCとして厚労省標準HL7 FHIR 記述仕様に準拠した2文書(診療情報提供書、退院時サマリ-)と薬剤情報、Patient Engagement推進UCの動的同意取得機能を実装した。
 本発表では、本研究を通して得られた成果と課題について報告する。