[2-B-2-03] 遠隔ICU 重症疾患のオンライン支援
telemedicine, tele-ICU, ICU
集中治療室(ICU)における重症患者診療においては、診療への専門医の関与が大きいほど診療アウトカムが改善するという報告がある。一方で日本を含む多くの国で、専門医の不足から全ての重症ケアユニットに専門医を配置できていない。遠隔ICUはその解決策として2000年頃からアメリカで始まった。 遠隔ICUは、遠隔画像診断や遠隔病理診断と同じDoctor to Doctorの遠隔医療に分類される。支援施設に専門医や認定看護師を配置し、被支援施設の重症患者の診療をサポートする遠隔医療である。アメリカではすでにかなり普及していて、いわゆる保険収載もされておリ、多くの文献が報告されている。一方で、日本では2018年頃から取り組まれているが、十分に普及しているとは言いがたい。 日本において普及が進まない理由は、費用を負担する被支援施設が遠隔ICUのメリットを感じていないことや、個人情報漏洩に対する不安のためだと我々は考えている。それらの課題を解決して普及させるために、厚生労働省や日本集中治療医学会も取り組んでいる。厚生労働省では導入費用や運営費用の一部をサポートする補助金を整備している。日本集中治療医学会では2018年に遠隔ICU委員会を設置し、「遠隔 ICU 設置と運⽤に関する指針」を作成し、さらに保険収載に向けてさまざまな取り組みをしている。我々も企業として普及に向けた活動をしている。 今回は、これまでに出されたエビデンスを取り上げながら遠隔ICUの詳細を紹介した上で、遠隔ICUを取り巻く国内外の現状、普及に向けた厚生労働省や日本集中治療医学会、T-ICUの取り組みをお伝えしたい。