一般社団法人 日本医療情報学会

[2-B-2-04] 遠隔心臓リハビリテーションの現状と今後

*木村 穣1、伊東 秀崇2、長谷川 高志3、伊東 春樹4 (1. 関西医科大学健康科学センター、2. 東京大学、3. 遠隔医療協会、4. 榊原記念病院)

Remote Cardiac Rehabilitation, Exercise Therapy, Preventive Medicine

循環器疾患において、動脈硬化に起因する冠動脈疾患、閉塞性動脈硬化症、さらに心不全に対する包括的心臓リハビリテーション(心リハ)の再発予防、生命予後の改善のエビデンスは十分に確立されている。その結果急性期入院中の心リハの施行は一定の水準を満たしているが、退院後の外来心リハの普及率は依然として低値である。

この外来心リハ実施の問題として医療機関への通院があげられ、遠隔医療(心リハ)が必要となってくる。複数のシステマティックレビューにおいて、遠隔心リハと通院型心リハの間には、死亡率、心イベント、運動耐容能、LDLコレステロール、中性脂肪、収縮期血圧、QOL、医療費などの項目に有意な差は認めていない。

我々は日本遠隔運動療法協会(JARET)、ジャパンハートクラブ(JHC)として遠隔心リハ(Tele-MedEX club;オンライン型心臓リハビリテーション)を開始している。急性期心リハを専門医療機関で実施し、循環器的に安定した患者を対象とし、遠隔監視として日本心臓リハビリテーション学会認定の心リハ指導士が、運動中対面モニターによる双方向通信により管理している。主運動は在宅に配置した自転車エルゴメーターを用い、循環器専門医の運動処方に基づいた運動強度、時間を実施している。その他事前の準備・整理運動、体調確認など約60分のプログラムを提供している。さらに運動中に患者教育として疾患の理解や栄養等のe-Learningを併用することにより包括的心リハを実施している。本方式は、従来の医療機関での監視型心リハと同等の内容であり今後のエビデンスが期待されている。またこれらの遠隔心リハの実施においてガイドラインの策定も必要であり、現在作成中である。

今後は生体センサー等による日常身体活動での管理と在宅運動機器を含む高機能通信システム装置による質の高い遠隔心リハの使い分けや、費用対効果の検証も必要と考えられる