[2-C-3-01] FHIR Questionnaireによる診療テンプレートの定義とJASPEHR
【目的】臨床研究を目的として臨床情報を収集する方法としてREDCapに代表されるEDCシステムが利用されている。電子的に臨床情報を収集することによりデータを収集する側は業務効率化の恩恵を享受できる一方で、データ提供側の臨床医の負担は軽減されない。そのため、電子カルテシステムからのDirect Data Capture (DDC) が注目されている。予め構造化した診療録テンプレートを用意して、電子カルテシステム上で日々の診療記録として記載されたデータを症例報告書形式に変換して収集する方式である。糖尿病レジストリのJ-DREAMSプロジェクトがこの方式を採用しているが、参加施設の増加に伴い、基盤の導入・保守コストの負担が新たな課題となりつつある。解決策として、JASPEHRプロジェクトでは、DDCを実現する電子カルテシステム共通プラットフォーム形成を目指している。 【提案手法】JASPEHR向けHL7 FHIR Qustionnaire / QuestionnaireResponse プロファイルを用意する。このJASPEHRプロファイルに従い、診療テンプレート共通定義体(JASPEHRテンプレートと呼ぶ)を用意する。JASPEHRテンプレートを入力として、電子カルテシステム製品に対応したテンプレートを生成する機能を用意する。登録された情報を QuestionnaireResponse リソース(JSONファイル)として出力する機能を用意する。 【結果】検証用のJASPEHRテンプレートを配布して、複数の電子カルテシステム製品のテンプレート機能への JASPEHRテンプレートの展開及び入力情報のQuestionnaireResponseリソース形式での出力について実証検証した結果、テンプレート機能共通の基本要素についてこの方式で対応可能であることが実証された。 【結論】 電子カルテシステム共通プラットフォーム形成に向けてJASPEHRプロファイル定義体の電子カルテ製品テンプレート機能への実装可能性が示された。今後は、テンプレート利用者の利便性向上に資するため JASPEHRプロファイルの充実が課題であり、実運用に向けてセンター側のQuestionnaireResponse リソースの収集基盤、JASPEHRテンプレート管理機能等の構築に引き続き取り組んでいく。