一般社団法人 日本医療情報学会

[2-D-2-01] RRSへの臨床現場への対応―病院情報システムを用いた診療補助の可能性―

*藤谷 茂樹1、吉田 徹1、森川 大樹1、谷井 梨美1、内藤 貴基1 (1. 聖マリアンナ医科大学救急医学)

Rapid Response System (RRS)が国内で導入されたのは、2008年になる。国内でのRRSオンラインレジストリを導入し、現在に至るまで国内でのエビデンスを創出してきた。当初は、バイタルサインを含む、1項目が異常値になるとRRSが起動をされるシングルパラメーターが使用されてきた。国際的には、バイタルサインの組み合わせでスコアリングをする早期警戒スコアリングシステム(Early warning score system: EWSS)が主流になりつつある。シングルパラメーターでは、起動者が努力によりRRSが起動されるが、EWSSは、Track and Trigger (追跡と起動)が客観的に行われ、起動件数を飛躍的に増加させることができる。起動件数が30件/1000入院患者数が、院内心停止を減少させることが報告されており、また、24時間対応をしようとすれば、一般化されたシステムが必要になってくる。 2022年に診療報酬改定で念願のRRSの導入が、急性期充実度加算に新設され、多くの急性期病院がRRSの導入を始めている。RRSの診療報酬の評価をする場合、しっかりと定義づけされた指標が必要であり、そのためには、客観的なデータが必要となる。我々は、日本集中治療医学会のRRS検討委員会で用語の定義付けを行い、RRSやコードブルーのオンラインレジストリを2014年に立ち上げた。そして、2019年からは、電子カルテより、DWHに保存されたバイタルサインからEWSをオンデマンドで算出し、ダッシュボードに表示をすることを開発してきた。このデータを用いることで、RRSがTrack and Triggerで起動をすることができるようになった。更に、DWHから、DPCデータを抽出し、院内の患者情報と組み合わせ、今後EWSに患者情報や院内情報などを加味した新たなEWSの開発も可能となる。