一般社団法人 日本医療情報学会

[2-D-2-02] Early Warning Scoring (早期警告スコア)自動収集システムの開発と多施設への展開
~ユーザーメイドを複数医療機関へ~

*木村 哲也1、山﨑 正記2、野口 綾子3、吉田 徹4、藤谷 茂樹4、橋本 悟5 (1. 京都府立医科大学附属病院 医療情報部、2. 京都府立医科大学附属病院 集中治療部、3. 東京医科歯科大学 大学院保健衛生学研究科 災害・クリティカルケア看護学分野、4. 聖マリアンナ医科大学 救急医学、5. 集中治療コラボレーションネットワーク)

京都府立医科大学附属病院では2008年から電子カルテシステムを導入し、2020年から第3期の電子カルテシステム(富士通EGMAIN-GX)が稼働しているが、導入当初よりEUC(End User Computing)にてシステムを構築し現場で活用している。今回、院内急変並びに重症患者の早期把握を目的に、電子カルテの経過表に入力されたバイタルデータをスコア化するEarly Warning Score(EWS)スコアリングシステムを構築した。本講演ではこのシステム利用した院内運用と複数医療機関への展開について紹介する。
 EWSは対象の7項目(脈拍・収縮期血圧・体温・呼吸数・酸素飽和度・酸素投与の有無・意識レベル)からスコアリングを行うが、手作業での抽出とスコアリングは観察室・準観察室の50名ほどの患者だけで数時間を要し労務負担となっていた。そこで担当看護師より自動収集システム作成の依頼を受け、システム構築を行った。現在すべての電子カルテ端末で実行可能となっている。検索を行うと1分以内に15歳以上の患者について経過表からリアルタイムのバイタル収集とスコアリングを行い、リスク判定が表示される。高リスク患者については集中治療部医師、急性・重症患者看護専門看護師を中心にCCOTとして病棟ラウンドを行っている。
 現在このシステムは富士通電子カルテ(EGMAIN-GX)であればマスタ設定を行うことで他の医療機関でも使用可能に改変しており、聖マリアンナ医科大学(病院情報システムはNEC MegaOakHR)救急医学との多施設共同研究として電子カルテベンダーの枠を越えて導入を進めている。現在合わせて19医療機関で自動スコアリングを実施しており、今後さらに広がる予定である。