Japan Association for Medical Informatics

[2-D-3-01] 地域の医療構想を支援するためのオープンデータへのアクセス

*Tokiharu Miyahara1 (1. Okayama Prefecture, Bihoku Healthcare Center)

  情報活用の目的は「問題解決、課題解決」である。問題解決の基本的プロセスは、1)問題点(課題)の明確化、2)情報へのアクセス、3)情報収集、4)情報の批判的吟味、5)情報の使用を正しく行って問題解決に至る。
その地域に発生する医療需要はいかほどかを推計する場合、必要なデータがどこにあるか? さらに、そのデータは「誰にでも入手できるか」ということが今回の要点になる。全国に発生する診療行為(保険診療に限られるが)について最も広範囲に収集しているのがNDBということになろう。しかもオープンデータとして提供されているので誰にでも入手できる。これを全国の性年齢別人口で割ると、それぞれの診療行為の性年齢別発生頻度が得られる。得られた頻度に各地域の性年齢別人口を掛け算すると、その地域の診療行為の件数が推計できる。
  この時、全国の性年齢別人口や、特定の地域の性年齢別人口をどこから得るかが問題になる。国勢調査と一口に言っても、不用意にアクセスすると膨大なデータの中で溺れてしまう。全国で診療を受けるのは在住の外国人も含めてであろうし、NDBのフォーマットに合わせると、性別、年齢別5歳階級人口ということになろう。最近では、国勢調査においても年齢や国籍を回答しない者がある程度存在するため、それらを補完したデータが必要になる。
  せっかく苦労して収集したデータが信用できないものであれば、そのデータを用いて解析したデータはすべて信用できない。責任の所在の不明確なデータや、新聞・雑誌等に掲載されたデータ(編集者の加工したデータ)は、加工した者のフィルターを通っているため素直に信用してはならない。政府、自治体のオリジナルのデータであれば、一応、信用できる。こうした、データの「吟味」が必要である。
  データを使用するときは、著作権、個人情報に注意し、内部データの場合は公表してもよいか、といったことにも配慮が必要である。