一般社団法人 日本医療情報学会

[2-E-1] NDBでこんなことができる! ―疫学から臨床研究まで NDBを用いた研究手法の開発ー

*高林 克日己1、吉村 健祐2、加藤 源太郎3、野田 龍也4、満武 巨裕5、宮地 秀明2 (1. 三和病院、2. 千葉大学、3. 京都大学、4. 県立奈良医科大学、5. 医療経済研究機構)

National Database, claims data, real world data

ビックデータ、実臨床という言葉が日常的に聞かれるようになる中、厚労省が保有するわが国の電子レセプトデータの集積であるNDB (National Database)の利用が従来の一部の研究施設から一般研究者に開放されるようになり、申請が認可されれば誰でも自由に活用できる時代になった。NDBは世界最大規模の電子レセプトデータベースであり、わが国特有の国民皆保険制度のお蔭で1億2千万余のほぼ全国民の匿名化された健康情報が10年間以上の長期間について悉皆性をもって活用できる点は特筆すべきものがある。この世界に誇るべき我が国の貴重な医療ビッグデータベースはただ単に疫学研究に利用するだけでなく、その特性をよく理解していれば様々な臨床研究に応用することも不可能ではない。こうした取り組みは未だ十分に理解されていないが、このような臨床研究が可能であるということが周知されれば、NDBを利用したいという研究者はあらゆる臨床分野に多数存在すると思われる。今回はまずNDBの研究を推進してきた加藤先生(京都大)に10年間を振り返っていただいたあと、野田先生(奈良県立医大)に実際の研究結果を、満武先生(医療経済研究機構)に超高速レセプトビッグデータ解析基盤を活用した研究成果を、宮地先生(千葉大)から皮膚科領域への応用を、そして高林(三和病院)からはリウマチ疾患における様々な臨床研究の活用事例を提示することで、NDBを用いて実際にどのような研究が可能であるのかを示し、医療情報研究者間での情報共有とNDBを利活用した今後の研究の進展について討議したい。