一般社団法人 日本医療情報学会

[2-E-1-01] NDB第三者利用のこれまでの経緯-更なる利活用の活性化に向けて-

*加藤 源太1 (1. 京都大学医学部附属病院)

Healthcare bigdata, NDB, Secondary Use

政策利用や研究利用等を目的としたNDBの第三者利用が2011年に開始されて以降、すでに10年以上の年月が経過した。この間、NDBの利活用促進は様々な立場から政策アジェンダとして掲げられ、データの提供側、利用側とにかかわらず、関係者においては時に各々が手弁当に近いレベルで尽力を重ね、このアジェンダの実現に向けた取り組みを行ってきた。その結果として、徐々にではあるがNDBの利用件数は増加してきており、研究成果も世に出ることが増えてきているところである。一方で、海外のレセプトデータ利活用と比較すればNDBの利活用の水準はまだ高いものとは言えず、依然としてその低調な利活用の現状が批判の対象となることもしばしばである。とはいえ、このコロナ禍で勢いが削がれた感はあるものの、コロナ禍の少し前には法改正や民間利用開始など、利活用の促進に資する大きな変更が導入されており、少なくともこの10年でNDBを取り巻く環境は大きな改善をみせている。今回の発表では「医療情報研究者間での情報共有とNDBを活用した研究の今後の普及について討議する」という当シンポジウムの目的を踏まえ、シンポジウムでの闊達な議論に資するよう、NDBの第三者利用のこれまでの経緯について、出来る限り網羅的に整理する。そのうえで、今回の大会参加者は実質的にNDBの利活用について最もリテラシーの高い方々であることを念頭に置いて、今後長いスパンで関係各者がNDBを有益に利活用できるよう、NDBの利活用における課題や今後の可能性を出来るだけ多面的に提示し、充実した議論につなげたい。