一般社団法人 日本医療情報学会

[2-E-1-03] 超高速レセプトビッグデータ解析基盤を活用した研究

*満武 巨裕1 (1. 医療経済研究機構)

Health Insurance Claim Information and Specified Medical Checkups, NDB, Secondary Use

目的:超高速レセプトビッグデータ解析基盤を活用した経験及び成果を示し(実際にどのような研究が可能であるのかを示し)、今後の研究の進展について討議する資料を提供することである。
方法:著者らはレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)の利用経験者およびIT研究者との共同研究により、複数のユースケースに対して適切なデータ抽出を行い 正確かつ迅速にデータを提供できるモデルを提示する。個々の分析ユースケース毎に、医学系等に於ける解析実務のワークフロー全体を考慮して、解析基盤として必要な機能を機動的に実装し、正確かつ迅速なユースケース研究を実践した。この実践の過程で得られた知見をもとに、機能の見直し・実装の改良を断続的に実施した。
結果:個々のユースケースに対して、(1)着想、(2)要件定義(解析論理の明確化)、(3)データ抽出設計・実装・実装、(4)レビューを繰り返し、成果を公表してきた。一方で、研究内容に適したデータを得るために、どのようなデータが必要か、それがどのデータから得られるのかといった知識を有していない場合も多い。また、たとえ関連するデータを見つけられたとしても、それだけでは研究にはならず、それらを組み合わせて研究計画書、データ抽出、分析を経て研究を完成させる必要があり、そういった課程を研究者が個々に行うのは手間がかかる。これが、研究利用が進まない主要な要因となっており、それを改善する策が必要である。
考察:研究という非定型業務は、一般的に事前に詳細が明らかではない場合が多く、試行錯誤を伴う。また、NDB利用に課せられている様々な条件を満たしながら、新規の成果を上げることの成功確率は決して高いとは言えない。成功確率を上げるためには、既に要件定義が確定しており、得られる結果が明確あるいは他で実証済みの研究をNDBに適用する場合がある。
結論:研究ワークフロー全体の効率化として、知見のオープン化による利活用を拡大、研究プロトコル確立および解析計画立案支援の方向性をより一層進めることで、ビッグデータからの知見創出がさらに促進されることが望ましい。