Japan Association for Medical Informatics

[2-E-1-04] Clinical Dermatologist’s Experience and Future Prospects of NDB

*Hideaki Miyachi1 (1. Department of Dermatology, Graduate School of Medicine, Chiba University)

National database, Real word data, Dermatology

近年、医療ビッグデータを活用した研究が世界的に盛んになり、一般臨床医・医療従事者にとっても身近な存在となりつつある。NDBは我が国の保険診療のレセプトの約99%が収集された悉皆性の高い貴重な医療ビッグデータである。よって、NDBには疫学や治療実態の把握・薬剤間の有用性比較・副反応や合併症の検討などの研究に活用できる潜在的な価値がある。しかし、一般臨床医にとって実際にNDBを利用した研究を実施するためには様々な障壁が存在する。本講演では、一皮膚科臨床医である演者のNDB活用の取り組みを通じ、直面した困難とその対処法や、今後への期待と要望について紹介したい。
 NDBにはオープンデータ、集計表情報、サンプリングデータ、特別抽出の4つの利用方法がある。オープンデータは、診療行為や処方等を性・年齢別階級別および都道府県別に加工済みのExcelデータである。検討できる研究課題は限られるが、誰もがすぐにアクセスできる利便性があり、演者は皮膚科特定疾患や皮膚悪性腫瘍手術の診療実態について検討した。他の利用方法は第三者提供として厚生労働省に利用申請し、申請内容に応じて加工されたデータが提供される。演者は集計表情報を活用する皮膚感染症研究の申請を終えているが、データ提供までに想定以上の期間を要している。リサーチクエスチョンが過去のものとなってしまうことや、諸外国との競争に負けてしまうことから、データ提供までの時間の大幅な短縮が望まれる。また、特別抽出の申請に向けても取り組んでおり、その際に臨床医が体験した注意点についても共有したい。
 NDBの活用には課題が多いと感じるが、本邦発のエビデンスを世界に発信できる可能性を持つ医療ビッグデータであると演者は考えている。本シンポジウムが、より多くの臨床医がリサーチクエスチョンを持ち寄り、医療情報研究の専門家の方々とともにNDB研究に取り組むきっかけとなることを期待する。