一般社団法人 日本医療情報学会

[2-E-2] 標準化退院時サマリーの利活用とさらなる洗練
~患者健康情報把握の核へ~

*渡邉 直1、高橋 長裕2 (1. 一般財団法人 医療情報システム開発センター、2. 公益財団法人ちば県民保健予防財団総合健診センター)

standardized discharge summary, ICD and ICF, HL7 FHIR, international patient summary, postgraduate clinical education

2019年に「HL7 CDAに基づく退院時サマリー規約」が厚生労働省標準として規定された.医療ケア連携における情報共有のための抄録(excerpt)の存在が重要であり、その標準的かつ具体的な構造ならびにコンテンツの設定を確立することは国際的な要請でもある。2021年にはInternational Patient Summary(IPS)という名称でISO標準が定められた(ISO27269:2021)。この流れも睨み、政府の健康情報把握の標準化規格化への取組みは急速に進展を見せ、2022年3月にはWebベースでの伝達共有が容易な構造であるHL7 FHIR規格の退院時サマリーについても標準的構造として認められた。その普及をはかるべく、2022年4月からの診療報酬改定において,診療録管理体制加算の要件として標準化の方向性について毎年報告が求められることとなり、FHIR形式での診療情報要約の登録、アウトプットが出来る体制の早期確立を推進する形となっている。診療情報に関わるすべてのstakeholdersがその形式、枠組みが何たるかについて周知し、よって実装の推進が図られるべきである。一方で、枠組みの理解やその構造導入だけで足りるという認識ではいけない。いかに意味のある要約情報を簡潔かつもれなく伝達できるか、そのコンテンツについての理解をもち、質を維持し高める監査も行われなければならない。平行して、規定された枠組みに何をどのように記載登録してゆくのかの観点が、実践的見地から、とりわけ卒後の初期研修医教育の過程において重要視されるべきである。本シンポジウムではFHIR規格での退院 時サマリーの枠組みについて確認し、さらにそのコンテンツの内容理解と適切な記載のための普及策を探り、さらには近将来の患者健康情報要約のあるべき姿についても探ってゆきたい。