[2-E-2-01] Standardization for clinical discharge summary on FHIR
HL7FHIR, discharge summary, standardization
FHIRにもとづく退院時サマリーは、2021年度末に厚生労働省標準となった。退院時サマリーに限らず診療要約は、診療上の特定の一連のエピソード(例えば入院治療)について、その原因や経緯、経過、診断的事実とその根拠、治療行為の内容や量と経過、医療側の根拠、患者への説明や理解、治療計画、全体としての結果、などさまざまな情報を要約したものである。要約は、情報を要約する側と要約を利用する側により情報に求める意図が大きく異なることがある。外科医は手術術式の選択理由や実施手術の細かい内容、その結果やフォローアップでの留意点を重要と考え、それらを最大限漏らさず要約しようとする。しかし、その要約を受け取る側が内科医で、フォローアップ目的に要約を利用する場合には、術式選択の合理的理由や術中輸血量や選択したデバイスなどの情報はあまり重視しないかわりに、フォローアップでの留意点や、入院中の血液検査結果の推移、内服薬内容とその変更理由などに関心を持つであろう。
すなわち要約すべき情報と構造をあらかじめ「退院時サマリー」という一括りで、特定の観点なしに標準化し、その作成を要約する側に委ねるのは無理がある。重要なのは、患者のエピソードに関するさまざまな情報を多角的な観点から「利用者側が要約して理解しようとしたとき」に、材料となるべき重要な情報がエッセンスとしてそろっていて、「利用する側の観点で再要約できるように」情報を格納しておくことである。言い換えると、要約化は必ずしも作成する側が行うのではなく、作成する側はそのエッセンスを選択して格納しておき、情報の受け取り側が異なる観点や関心にもとづき異なる要約的理解ができるようにすることである。そのために必要な情報を構造化して格納しておくにはFHIRリソースのバンドル仕様は最適な方法のひとつであり、今回のFHIR仕様はその方針を潜在的に意識したものとなっている。
すなわち要約すべき情報と構造をあらかじめ「退院時サマリー」という一括りで、特定の観点なしに標準化し、その作成を要約する側に委ねるのは無理がある。重要なのは、患者のエピソードに関するさまざまな情報を多角的な観点から「利用者側が要約して理解しようとしたとき」に、材料となるべき重要な情報がエッセンスとしてそろっていて、「利用する側の観点で再要約できるように」情報を格納しておくことである。言い換えると、要約化は必ずしも作成する側が行うのではなく、作成する側はそのエッセンスを選択して格納しておき、情報の受け取り側が異なる観点や関心にもとづき異なる要約的理解ができるようにすることである。そのために必要な情報を構造化して格納しておくにはFHIRリソースのバンドル仕様は最適な方法のひとつであり、今回のFHIR仕様はその方針を潜在的に意識したものとなっている。