一般社団法人 日本医療情報学会

[2-E-2-03] 退院時サマリーと International Patient Summary の関連

*渡邉 直1、高橋 長裕2、中島 直樹3、岩﨑 榮4 (1. 一般財団法人 医療情報システム開発センター、2. 公益財団法人ちば県民保健予防財団総合健診センター、3. 九州大学病院メディカル・インフォーメンションセンター、4. NPO法人 卒後臨床研修評価機構)

standardized discharge summary, international patient summary, HL7 FHIR, ICD, ICF

複数の慢性疾患を有し,複合的な管理を慢性期医療機関・ケア機関にて受けつつ日常を過ごし,時に特定病状の先鋭化によって急性期医療機関にて先端的介入や詳細な診断を受け,また日常医療ケア機関に戻るという,常態化している患者の移動において,都度,患者の健康情報がコンサイスに伝達・共有されないと,迅速適切な医療ケア対応に難渋することとなり,医療安全上でも問題となり得る.必要なアイテムとしての既存症(プロブレム)等の情報,キーとなる検査情報および画像(レポート)情報が簡潔明瞭に伝達されるべきであり,このような核となる情報を標準的・統一的な形式で保存し患者に持たせ,どの医療ケア機関でも活用できるようにする,というのがISO化されたInternational Patient Summary(IPS)の基本概念である.欧州においては国をまたいでの第三者救急医療機関での困難の克服を中心として企画されてきたが,慢性期-急性期の情報伝達においても同等以上の意義があることは間違いない.標準化された医療情報の枠組みをWeb伝達に適したHL7 FHIR形式で規定した標準化退院時サマリー,診療情報提供書として病院情報システムに広く普及させ,キーとなる情報アイテムを共通の枠組みで吐き出して,患者の同意のもと,どの医療ケア機関でも参照および利活用できるようにすること,患者自身も自らのキー健康情報にアクセスできるようにすることが国の施策として急速に進められようとしている.本講演では標準化退院時サマリーから,具体的にどのような形で,いわば日本版IPS情報ファイルを形成してゆくべきなのか,その活用の方式としてどのような仕組みが想定され,その中に包含すべきアイテムの選択抽出の方策はどうあるべきか,現状の標準化退院時サマリーに包含されているコンテンツだけで十分な抽出が出来るのか,等について論じてゆきたい.