[2-F-2-03] 無線通信ネットワークの構築における重要なエッセンスとは
Wireless communication, Network survey, Wireless LAN, Cellular phone, Cloud computing
医療分野への更なるデジタル化が進められている中、病棟においても医用テレメータ、無線ノート型医療情報システム端末(無線ノート端末)などのネットワーク接続に無線通信技術が活用されており、ネットワーク基盤として無線通信ネットワークの整備が進められている。一方で、病院での無線通信ネットワークの運用においては課題も多い。 札幌医科大学附属病院では、病棟における無線通信ネットワークを利用して運用する無線ノート端末について「無線通信ネットワークに繋がりにくい」などの問合せが継続的に発生したことから、原因究明のため、2017年から2018年に北海道通信局、医療情報システム担当、電子カルテシステム業者、通信業者にて大規模な無線通信ネットワークの調査を実施した。調査から無線ノート端末が利用する2.4GHz帯において多くのSSIDが確認されたため、患者や医療者が各自持ち込んだWi-Fiルータなどとの電波干渉を考えた。また、ナースステーション奥の処置室に電波強度の弱い箇所が複数見つかった。これらの調査結果を受けて、利用エリアの制限など、通信機器利用規約を制定し院内に掲示した。また、医療情報システムの更改を機に無線ノート端末の利用周波数帯を5.0GHz帯に変更するとともに、病棟全域で電波強度を確保するためにアクセスポイントを増設した。 近年においては、COVID-19の流行によるオンライン診療、オンライン面会などのニーズの増加から、当附属病院においても患者用ネットワークなどの構築を進めるともに、周波数帯、チャネル構成について検討し、新たな無線通信ネットワークの構築も検討している。 本セッションでは、無線通信ネットワーク運用における課題とそれらに対する施策、大学病院における無線通信ネットワークの現況と、診療における患者安全のみならず、情報セキュリティ面も考慮した安心・安全なネットワークの構築に必要なエッセンスについて議論したい。