Japan Association for Medical Informatics

[2-F-3-04] 筋ジストロフィー患者の安全確保とQOLに寄与するアシスティブテクノロジー

*Shintarou Takeuchi1 (1. National Hospital Organization Hokkaido Medical Center)

デュシェンヌ型筋ジストロフィーは進行性の筋力低下と筋委縮を伴う小児期発症の遺伝性神経筋疾患で、思春期に呼吸不全や歩行不能を呈する。欧米では、気管切開をせず鼻マスクを用いた非侵襲的陽圧換気療法が第一選択で、全身の筋力低下には電動車いす活用によってQOLが低下することなく維持されている。しかし、全国の旧国立療養所(と旧国立病院)にあった「筋ジストロフィー病棟」は療養介護病床になり、高齢者に準じた扱いとなったことで、自力で寝返り困難なのに転倒防止対策、車いすの固定ベルトは身体抑制とされ間違った安全管理が推し進められた。そのため我が国では少数のケアスタッフで安全を確保できる気管切開や離床困難な入所者が多くパラダイムシフトは一向に進まない。
 当院の入所者は、人工呼吸器を搭載した電動車いすで自走移動し階下の作業療法室でeスポーツや3Dプリンターを活用した仕事、そして会社と契約しリモートワークをしている。少数のケアスタッフで安全には細心の注意を払っているが、所在管理やバイタル情報の簡易伝送などの支援技術があるとケアスタッフの負担は軽減する。電源供給は可能なのでアクティブRFID、もしくはbluetoothシステムなどが有効活用できる可能性はある。一方、セントラルモニターは問題がない時も常時表示されており、アラームが鳴ったときには何処でどのような内容かを見極めないとならない。異常時だけ表示されるシステムが欲しい。さらにスマホやタブレットに2次的な使用で情報が瞬時に転送されるとナースステーションから離れてケアをしているスタッフにも共有できる。さらに、このようなシステムが在宅にあれば家族の負担の軽減に繋がる。