Japan Association for Medical Informatics

[2-G-1-01] 救急領域のICTを全県レベルで統合する上での課題について

*Tsuyoshi Shimomura1,2,3, Yasuaki Antoku1, Tatsunori Nakashima2, Hatano Koji3 (1. 大分大学医学部附属病院医療情報部, 2. 大分大学医学部附属病院災害対策室, 3. 大分大学医学部ヘルスケアAI・データサイエンス講座)

remote image transmission system, mobile cloud electrocardiography, communication app for medical professional, emergency medical care

昨今、救急領域においてもICTが盛んに導入されているが、様々なシステムが乱立し全県レベルで統合して利用しているケースは稀である。大分県においては、早期から全県での救急領域のICT統合を見据えながら、様々なシステムを導入してきた。つまり、①大分県遠隔画像伝送システム(以下画像伝送システム)、②医療関係者間コミュニケーションアプリJoin(以下Join)、③医療情報連携ネットワーク(以下EHR)などが上げられる。①画像伝送システムは、救急車内映像伝送、高精細動態管理システム、12誘導心電図伝送の3つのシステムから構成され、平成26年7月より運用を開始した。ている。令和3年度に「クラウド統合型救急支援システム」として3システムを統合・拡充し、24病院(救命救急センター4施設、二次救急病院18施設、PCI施設2施設)、全14消防本部が参加するシステムとなった。令和4年度にはシステムの拡充を追加し、ハンディタイプIP無線機も導入して病院前救護活動や災害時での運用を予定している。②Joinには28病院が参加し、院内や病院間でDICOM画像を共有しながら救急患者の対応に利用されている。また、救急隊対象に大動脈疾患や脳卒中向けのJoinトリアージアプリの実証実験も開始したところである。③大分県には全県を網羅するEHRは存在しないが、現在構築中の中部医療圏のEHRである「おおいた医療ネットワーク」においては基本6項目を蓄積するデータセンターを構築して、救急隊への情報提供を計画している。  これらのシステムすべてを統合することは、クラウドベースであることからクラウドサーバー連携を利用すれば技術的には比較的統合しやすい。しかし、縦割り行政、様々な組織・団体・協議会間の同意形成などハードルは高い。如何にこれらの課題を解決し未来に繋げようとしているかについて述べたいと思う。