Japan Association for Medical Informatics

[2-G-1-04] コロナ軽症者宿泊療養施設における入所者の健康管理強化の取り組み

*Naoki Nakamura1, Shin Takayama2, Keisuke Ido1, Ryusuke Inoue1, Susumu Fujii1, Ota Hideki1, Tadashi Ishii2, Hideo Harigae1 (1. 東北大学病院メディカルITセンター, 2. 東北大学病院総合地域医療教育支援部)

COVID-19, EHR, Digital Transformation

新型コロナウイルス感染症が猛威を振る中、宮城県では、東北大学病院長を本部長とする宮城県新型コロナウイルス医療調整本部(県医療調整本部)を設置した。県医療調整本部では、宮城県内の医療機関と連携し、中等・重症患者の医療機関の病床を確保するとともに、軽症者宿泊療養施設入所者の増悪を見逃さないよう大学病院医師が往診し、重症化前に迅速な入院調整を可能とし、宮城県内に安心安全な医療体制の提供を図ってきた。

 この取り組みを支援するため、迅速かつ機動的に1~5のDX化を実践し、医療機能付き宿泊療養施設を整備してきた。

1.全国に先駆けて地域医療連携システムを活用したレントゲン検査、血液検査、心電図検査を行う仕組みの内製開発
2.ホテル内で紙媒体により管理されていた患者管理の電子化の実現
3.24時間の経皮的酸素飽和度のトレンドや1日における93%以下の割合の24時間モニタリングの全国に先駆けた実現
4.一週間での抗体カクテル療法の環境整備
5.スマホを用いた健康観察情報の自動収集の仕組みの整備

 これらにより、第5波の陽性患者急増に際して、最大181名の陽性者が医療機能付き宿泊療養施設に入所し、医師が毎日往診し、補液や酸素投与、ステロイド投与などの積極的治療介入を行うことで、中等・重症者患者の病床の逼迫を軽減し、医療機関の病床のバッファーとして機能し、第5波を凌ぐことができた。第5波の収束後、累積感染者数1万人以上の都道府県で、10万人あたりの死亡者数と感染者に占める死亡者数の割合が共に宮城県が全国最小となっており、この結果は、本取り組みの一部が寄与しているのではないかと考えられる。また、第6波では、宿泊療養施設入所者激増にもかかわらず、上述の2及び5により健康管理の業務逼迫が軽減され、宿泊療養施設の運営を維持することを可能とした。
 本発表では、これらの感染症分野における取り組みの詳細について報告する。