[2-G-1-05] 新型コロナウイルス感染症の自宅療養者に対する健康観察アプリケーションのユーザビリティ
COVID-19, telemedicine, public health informatics, usability
【背景】 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2020年に本邦でパンデミックが発生し、初期は重症例の対応に、抄録作成時点においてはワクチン接種の普及と感染株の変異によって重症化が低下して自宅療養体制に重点が置かれている。札幌市の自宅療養体制は、COVID-19感染者がWebアプリケーション(こびまるプラットフォーム)を用いて、初回の入力内容で自宅療養可能か判定し、自宅療養可能と判断されれば自ら送信した健康状況を自動判定する支援を行っている。我々の知る限り、これまでCOVID-19に関する健康観察アプリケーションなどの遠隔医療システム利用者からのユーザビリティの報告はわずかである。 【方法】 こびまるプラットフォームの健康観察情報はArcGIS Onlineにおける札幌市アカウントのデータベースに記録される。本研究は札幌市と共同して行った療養終了者に対する、2022年3月4日から6月27日の期間のアンケート結果と、2022年2月1日から3月7日の期間の利用者の初回入力までの時間を解析した。 【結果】 2022年6月27日現在で、療養終了者のアンケート回答は58,805件。健康観察の回答に要した時間は3分未満が47736件 (81.2%)、3-5分は6055件 (10.3%)、5-10分は659件 (1.1%)。アプリの使用感、わかりやすさは平均値 4.0 (SD=0.96)。電話とアプリのどちらがよいかについてはアプリを選択したのが48835件 (89.6%)。初回入力まで1時間以内に回答した者は、28618人(76.9%)だった。 【結語】 COVID-19に対する自宅療養者の健康観察システムのユーザビリティについて、良好な評価が多く、電話による健康観察と比較してアプリを好む利用者が多かった。ユーザビリティに基づいた開発、社会実装を今後も行っていく。