Japan Association for Medical Informatics

[2-G-1-06] コロナウイルス陽性者健康観察アプリ「こびまる」の自宅療養者データの分析

*Shintaro Takatsuka1, Masayuki Koyama1, Ryuichi Nakayama2, Takumi Tanikawa3, Tsuyoshi Mukouhara4, Naoki Fujimoto4, Jun Fukuda5, Hidehiro Ozawa6 (1. 札幌医科大学, 2. 北海道立羽幌病院, 3. 北海道科学大学, 4. 北海道情報大, 5. ESRIジャパン(株), 6. 札幌市保健所)

Public Health Informatics, Coronavirus Infections, Geographic Information Systems

【はじめに】我々は、新型コロナウイルス感染症に関わる札幌市保健所の業務負担軽減のため、宿泊療養患者・自宅療養・濃厚接触者の健康観察を行うための健康観察アプリ「こびまる」を開発した。陽性者は保健所からIDとURLを受け取り一日に一回インターネットを通して健康観察を行い、アプリ側では入力された体温や現在の症状、既往歴などのデータから自動的に重症度を判定し陽性者に通知する。保健所はこれらのデータを用いて日ごとの変化を追跡できる他、重症度が高かった人の健康観察注目度を上げることによって業務を軽減することができた。本研究では蓄積されたデータと入院情報、ワクチン接種情報を合わせて分析することで重症度判別の評価を目的とした。【方法】本アプリで陽性者の中から自宅療養に決定した人が健康観察を行い2021年1月から2022年5月まで55万超のデータを収集した。自宅療養でものちに症状が悪化し入院するケースがあるが、このような入院に至るケースを「こびまる」の重症度判定によってスクリーニングできているかを評価の基準として分析した。住所や名前などの個人情報は保健所で管理し、こびまる側では記録しないことで個人情報に配慮し、またワクチン接種情報や入院に関わる情報も個人情報を削除されていない状態で扱った。【結果・考察】記録されたデータのうちIDの重複を除いた数はおよそ11万であり、この中でその後医療機関に入院したと明らかになった数は1135名であった。健康観察に入力後2日以内に医療機関に入院した割合は最も重症度が高い判定である赤が5.66%、以下重症度順に黄が1.26%、緑が0.51%、無が0.04%であり、スクリーニングする機能を発揮できていたことを示した。またワクチン接種によって入院に至る割合の減少、赤と判定される割合の減少がみられたが、感染時期の要因も大きいと考えられた。