[2-G-1-07] 官学連携により産まれたCOVID-19健康観察システム「こびまるライト」
Information and Communication Technology, COVID-19, SARS-CoV-2, Labor Efficiency, Health observations
【はじめに】新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミックは、罹患者の健康被害に留まらず、市民の行動制限や生活不安など、社会経済の隅々に影響を及ぼしている。全国の保健医療行政の現場では厚労省が導入した「HER-SYS」や各企業が開発したアプリケーション等を用いて、療養者の健康状態の把握に努めているが、人的・物的負担が大きく、大きな課題となっている。【方法】札幌市では、我々が独自開発した「こびまる」という健康観察システムを2020年5月から実装し (第21回日本医療情報学会にて報告)、2022年5月末までの2年間で宿泊療養約10万、自宅療養55万件の観察実績を積んできた。さらに2022年5月1日からは健康観察ポータルサイト:こびまる「ライト」を活用した新たな健康観察を展開している。すなわち、重症化リスクの低い者を自動で振り分け、その中で自らの健康観察を希望した者に対し「ライト」の利用を促す (希望しない者は「こびまる」使用)。利用者がサイト上に健康情報を入力すると、リスクに応じて赤・黄・緑の判定が自動で返り、赤や黄の場合は札幌市が新設した陽性者相談サポートセンター (サポセン) へ誘導される。【結果】開始4週間時点の札幌市における新規陽性者数は29,218名 (年齢: 31歳 [Q1 16, Q3 46], 女性: 51.8%) であり、「こびまる」への送信数は74,140件、「ライト」への送信数は21,213件であった。「ライト」の判定は、赤: 1585, 黄: 228, 緑: 17,244件であり、サポセン利用は5,607件、うち37件は入院調整等の対応が必要な案件で、9件は在宅医療を案内した。【結論】5類化を想定するならば、健康観察は保健所主体から療養者自らが行う健康観察へ安全性を担保した上で移行する必要があり、こびまる「ライト」はその解法をの一つとなりうる。