Japan Association for Medical Informatics

[2-G-2-02] 自殺関連ツイート増加に対して脆弱な個人特性の検討:Case-onlyアプローチの適応

*Toshiharu Mitsuhashi1 (1. 岡山大学病院 新医療研究開発センター)

Suicide prevention, Twitter, Case-only approach, Social media, Public health

【背景】近年、ソーシャルメディアの普及に伴い、その健康への影響も無視できないものとなっている。マスメディアと自殺の関連については先行研究があるが、ソーシャルメディアと自殺の関連については研究が少ない。本研究の目的は、自殺関連ツイートの増加に対して脆弱な個人要因を明らかにすることである。
【方法】日本の人口動態統計から2011年1月1日から2014年12月31日までの自殺死亡データを入手し、自殺関連のツイート数をホットリンク社の商用サービスから入手した。Case-onlyアプローチを適応し、各個人特性の交互作用を推定した。ロジスティック回帰モデルを用い、交互作用をオッズ比(OR)とその95%信頼区間(CI)として算出した。感度分析として自殺以外の予期しない死亡のデータも用いた。
【結果】自殺関連ツイートの前日からの増加率が95パーセンタイル以上の日を急増日と定義した。急増日の3日後に発生した自殺について、40歳以下では有意に高い交互作用が見られた(OR=1.09:95%CI 1.03-1.15)。さらに、男性(OR=1.12:95%CI 1.07-1.18)、離婚者(OR=1.11:95%CI 1.03-1.19)、都市部の住人(OR=1.26:95%CI 1.17-1.35)は有意に大きな交互作用があった。自殺以外の予期しない死亡では有意な交互作用は特定されなかった。
【考察】急増日と自殺死亡との関連について、いくつかの個人特性では交互作用が示された。一方で、自殺以外の予期しない死亡に対しては、交互作用がないことが示された。つまり、本研究で示された交互作用は自殺に特化していると考えられる。