Japan Association for Medical Informatics

[2-G-2-04] 高齢者施設における「仕事」と入居者のメンタルヘルスに関する研究

Muto Sakaguchi2, Koki Jinbo2, Koji Mikami1, *Taichi Imai2, Jyun Shimasaki2, Seiko Masuda3, Yukie Majima3 (1. 大阪府立大学院 人間社会システム科学研究科, 2. 大阪府立大学 現代システム科学域, 3. 大阪公立大学大学院 情報学研究科)

Senior, Institution, Jobs, Mental Health

【背景】
近年,日本では高齢化が急速に進行しており,高齢者の日常生活への影響など様々な問題が発生している.
従来の研究で,高齢者施設の入居者は在宅高齢者に比べて主観的健康度,幸福感が低いことが明らかになっており,施設入居者の健康度や幸福度の向上が必要である.また,他の研究で,労働者は無就業者に比べ,主観的健康度や幸福度が高いことが明らかになっており,仕事が健康や生活機能の維持に良い影響を及ぼすと考えられる.そこで本研究では,高齢者施設における「仕事」が入居者のメンタルヘルスの維持・向上につながるという仮説を立て検証する.
【目的】
報酬の発生する「仕事」に取り組むことが,施設入居者のメンタルヘルスにどのような影響を与えるか調査することを目的とする.
【方法】
入居型高齢者施設の女性10名を対象とする.日頃から報酬のある仕事をしている「仕事群」,無報酬の「レクレーション群」の2群に分ける.それぞれ毎日1時間の作業を1週間実施してもらい,作業時の様子を動画で撮影し,表情データを収集した.収集した表情データを表情分析ソフトを用いて分析する.また,対象者にはうつ症状と幸福度について,施設職員には対象者の様子の変化などについてインタビューを実施した.
【結果】
両群とも「喜び」の感情が占める割合が一番高かった.次いで,「仕事群」では「驚き」が,「レクレーション群」では「悲しみ」の感情が占めていた.また,対象者へのインタビューの結果,「仕事群」は現在の生活に,「レクレーション群」は今までのことに満足していた.施設職員へのインタビューの結果,「仕事群」の仕事に対するモチベーションは他者貢献感が主な要因だとわかった.
【考察】
高齢者が仕事をすることにより「喜び」を感じてもらえ,モチベーションとして他者貢献感があることがわかった.よって,高齢者施設における活動に「仕事」を選択肢にあげられることが考えられる